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K.nightmare-ナイトメア-  作者: RIKI
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EP1-5

wordである程度書き溜めているので初投稿です

「ぁ…」


 メアは、友人が目の前で羽に貫かれる姿を直視した。ギルドに入る前から一緒に行動し、治療魔法も教えてくれた。ギルド加入後は同じ空間で寝食を共にしてきた友人が、信じられないほどあっさりと、命を奪われる光景。


「あぁ…」


 羽と共に血しぶきが舞い、ゆっくりと倒れていくララの身体を、メアは見てしまう。


「うあああぁぁぁぁぁぁ!!!」


「お、おい!暴れんな!」


 ダルクは片手で抱えていたメアを必死に押さえつける。今までこのような死人の出る戦闘に参加した経験のないメアにとって、耐えられないほど酷な光景であることは分かっていた。


(せめて視線を遮るべきだった…くそっ!)


 己の失敗に悪態をついた後、すぐにその場からの離脱を試みる。


「私ができるだけ時間を稼ぎます、できるだけ散り散りに逃げてください!」


 オーウェンが叫ぶと、杖を構えて水魔法の用意を始める。


「『ネクター』のギルドマスターとして、この命を賭して戦います!『水龍の怒り』!」


 飛行型の頭上に突如、五つの魔方陣が出現する。その魔方陣から大質量・高水圧の水が襲い掛かり、飛行型は動きを抑えられる。味方にまで流れてくるはずの水は途中、生きているかのように再び上空へ昇り、再び勢いよく襲い掛かっていく。


「リーダー…すまん!」


 あの魔法はエナジーを大量に消費するため、十秒も出し続けると全く動けなくなることダルクは知っている。だが、オーウェンは己のエナジーが尽きるまであの魔法を使い続けるだろう。


 ダルクは未だに暴れるメアを抱え走り出す。他のメンバーもその光景を見てすぐに散り散りに走り出した。一人でも多く生き残るために。そして飛行型の情報を町に持ち帰るために。


 しかし


 咆哮する飛行型が、水流の根源を翼で打ち破り片足を大きく上げる。そのまま地面に勢いよく踏みつけると、火山が揺れ、地がヒビ割れる。


 メアを抱えているにも関わらず、一番遠くまで逃げていたダルクの足元まで、そのヒビは届く。揺れの影響でバランスを崩したダルクは、そのヒビ割れた地面から黒い何かが勢いよく流れ込み、蠢いていたのを見逃さなかった。


「――死なせるかああ!!!」


 片足を踏ん張り、無理やり身体を動かすと、ダルクは抱えていたメアを勢いよく放り投げた。






 一瞬、何が起こったのか理解できなかった。

 

 自分が放り投げられ空を舞っている間、その一瞬に首の横を黒い何かが襲い掛かり、身につけていたペンダントの紐が千切れる。


「いだっ…!」


 ダルクに投げ飛ばされたメアは空中で一回転し、背中から着地した。思わず苦痛の声を漏らしたが、すぐに倒れながらも投げ飛ばされた方向に振り向きながら叫ぶ。


「ら、ララちゃん!ダル…ク…?」


 オルト火山は中腹まで来ると、途端に木々が少なくなり、岩場が多くなる。なのに、何故その岩場に幾つも見た事のない木が生えているのだろうか。


 理解できなかった。いや、したくなかった。


 ヒビから出てきた、幾つもの鋭い棘の形になった黒い靄が、オーウェンを、ダルクを、ララを、『ネクター』のメンバーを貫いている光景を目の当たりにする。


「え…?」


 空を舞っている間に首をかすめたと思われる棘に、ペンダントが引っかかっている。ダルクが咄嗟に投げていなければ、皆と同じく串刺しにされていただろう。


 メアが放心していると、棘の靄が突き刺した死体とペンダントをゆっくり包み込みながら地面へ戻っていく。そしてヒビを伝い飛行型へと吸収されていった。


 ついさっきまでいた『ネクター』のメンバー計三十五人の姿が消え、後には何も残っていない。全てを吸収し終わったのか、ゆっくりと飛行型は仕留め損ねた得物の方向へ顔を向ける。


「…」


 メアは死を悟る。先ほどのように吸収され、跡形もなくこの世から消えてしまう恐怖を全身で感じ取り、思考が止まる。


 メアと飛行型の視線があったその時だった。


「●●●!」


聞いたことのない言葉が、どこからか聞こえた。


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