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K.nightmare-ナイトメア-  作者: RIKI
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EP1-2

未だもう一人の主人公は出てきていないので初投稿です

 オルト火山。


 安全な道のみをたどれば上るのは容易な山であるが、立ち入り禁止とされている区域では、壁や地面といったあらゆる箇所から溶岩が吹き出し、身を焼くほどの灼熱が待ち受けているという活火山。オルト火山の近くにあるオルトの町では、ドワーフたちが溶岩地帯から稀にとれる鉱石を求めて採掘依頼を、集会所を経由しギルドにだす。


 しかし、これほどの過酷さを知れば人間で受ける者はいないだろう。ギルド『モルドール』は火蜥蜴人族と呼ばれる、熱に強い亜人を中心に構成されているギルドで、このオルト火山を主な活動現場とし、その功績からドワーフたちにも信頼されていた。


 火蜥蜴人族は全身を鱗で覆われ、鋭い目つきと大きな蜥蜴の尻尾、水かきのような膜が張ったその手で掴める物であれば、なんでも一飲みできるのではないかと思わせる大きな口を持っている。そして、恐ろしい見た目に反して、案外非常に温厚であることで有名だ。


 ドワーフから依頼を受けた後、意気揚々といった様子で出発し、いつもは二~三日程度で大量の鉱石を持って戻ってくる。が、五日を過ぎても『モルドール』は採掘依頼から戻ってくることはなかった。そのことに不安を抱いたドワーフたちが、捜索依頼を他のギルドに依頼したのだ。


 オルトの町では『モルドール』のような、過酷な環境でも採掘を頼める存在は貴重であり、多少無茶をしてでも探し出したいため、多額の報酬をギルドの統括をしている集会所が約束した。そして、土地の探索と調査、行方不明者の捜索を専門としているギルド『ネクター』がこの依頼を受けることになる。


 オルト火山の中腹、溶岩の影響もなく、見通しの良い場所に構えた臨時拠点は、『ネクター』のギルドマスターによる水魔法の結界のおかげで、周囲より少し温度が低くなっており、ここで作業する者にとって快適な状態になっていた。


 その拠点に点在するテントの内、中央にある少し大きめに設営されたテントの中でダルクは捜索結果を報告する。


「途中モンスターと戦闘を行った痕跡を発見して以降、そこから先に進んでも痕跡がみつからねぇ。ただ事じゃないな」


 ダルクは最近白みがかってきた頭を掻きながら言う。その言葉を聞いた青髪の男は眼鏡を外し、目を瞑りながら椅子にもたれかかる。


「そうですか…ここの立ち入り禁止区域ならばあるいはと思ったのですが、この場所ではなかったようですね」


 そう呟くと再び眼鏡をかけ、杖を手に持ち机に置かれた簡易的な地図に向かって振る。いくつも赤く塗りつぶされているその地図はまた一箇所、赤色に染まる。


「まだ他にも禁止区域がある。この辺りはいくつか洞穴のようになっているようだ。今度はそちらに行こうと思う」


「その前にまずは休息を。ダルクさん、友人を思って急ぐ気持ちは分かりますが、身内を探すことになるのは勘弁ですよ」


「…分かってるよ、リーダー。新入りもバテちまっているからな」


 『モルドール』に所属しているオットーという火蜥蜴人族と交流のあったダルクは、率先して危険な場所を捜索していた。そのため、他のメンバーよりも体力消耗が激しいはずだった。


 ふとダルクがテントの外を見ると、まるで嵐の中を走り抜けた後のように、びっしょりと水で全身を濡らしたメアが地面にへばりついており、ララが心配そうに声をかけているのが分かる。「何をやっているんだ、あのバカは」という呟きを、リーダーと呼ばれた男は聞いた気がした。


「探索メンバー全員の報告を聞いた後、再び指示を出します。それまで彼女たちをしっかり休ませるように。特にメアさん、彼女の能力は今回の捜索では重要ですからね」


「エナジーの燃費が悪すぎて、今日はあと一回が限界だといっていた。範囲ギリギリの出来事だからだろうな。だが、これ以上の日数は、新入りの能力の範囲外になっちまう」


「そうですね。せめてもう少し痕跡があれば…」


 メアの能力のおかげで、『モルドール』がここから北北東の道に進んでいったことは確定している。しかし今のところ、まるで神隠しにあったかのように痕跡一つ見つからない状態だった。


「とりあえずあいつらを休憩させてこよう。それと、悪いが補給分とは別に、追加で水筒を貰えないか?多分、あいつがまた考えなしに全部飲んじまうだろうからな」


 バツの悪そうな顔をしながらダルクが言うと、男は疲れ切った顔をしながらも、ふふっと笑った。


「前々から思っていましたが、結構面倒見がいいですよね、ダルク」


「…捜索に重要な人物なんだろう?」


 困ったようにそう言うと、ダルクは未だに床にへばっているメアと、必死に看病しているララの所へ戻っていった。


「しかし、ここまで何も見つからないとは…嫌な予感がしますね…」


 一人テントに残ったリーダー、オーウェンは、殆どが赤く染まった地図を眺めて、誰にも聞こえないくらいの声でそう呟いた。


途中で名前の設定が変わった人物がいるので、間違っているかもしれません

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