EP1-1
二回目の初投稿です
「あ゛っづい゛!!!」
もう何度目になるのか、数えるのが馬鹿らしくなるほどの言葉を聞きながら一行は歩き続ける。その間も「あ゛あ゛ぁ」と本当にダルそうな声が響き渡る。
「おい新入り、いい加減暑い暑い文句言うのをやめろ。こっちまで余計に暑く感じるだろうが」
後ろから追随している、槍を持った細見で長身の男が声をかける。その男も額に玉のような汗を拭きだし、我慢ならんといわんばかりに水筒に入った水を飲む。
「暑いじゃなくて熱いの!ううぅ…あついよぅ…」
「わかった、わかったからほら、これ飲め」
ギルドで支給されている温度維持の水魔法を込めた水筒を、先ほどから文句ばかり口にする仲間に差し出す。
「えぇぇ?それもう口付けてるじゃ~ん…」
「この状況で、よくそんな我が儘が…」
男は呆れたように言うと水筒をしまう。そして何かを探すように視線を動かした後、自分たちが歩いてきた方向に振り向き、ため息をつく。
「はぁ、だいぶ火口まで近づいたが、結局誰も見つけられなかったな」
オルト火山に入ってから、五日経っても帰還しないギルド『モルドール』を探し始めて、既に二日が経過していた。捜索依頼を受け、三人一組の十二パーティという人海戦術で探し始めたが、モンスターとの戦いで残ったと思われる痕跡しか発見できず、誰一人として『モルドール』のメンバーを見つけられていない。
「そんじょそこらのモンスターに殺されるような奴ではないんだが…仕方ない、定期報告のために一度、臨時拠点まで戻るぞ。この道以外で何か見つかったかもしれないからな。ついてこい」
「ほら、メアちゃん。私の口を付けてない方の水筒を分けてあげるから頑張って」
「ララぢゃーん、ありがどぉ…」
「…聞いていたかお前ら?」
最近少しずつ衰えが見え始めた眉間に、更に追加で皺を寄せながら二人の方に向き直る。
丁度、赤色の短いウェーブのかかった髪をし、杖を背に持った胸の主張が激しい美しい女性が、自分の腰にまでかかった長い銀髪で、ショートソードを腰に携えた少し小柄の女性に水筒を渡しているところだった。
「新入り、水分補給のペースは考えろと出発前にあれほど言っただろ。次また無計画に水を無くしても、俺は絶対分けねえからな」
「(グビグビグビ)ぷはっ、ずいまぜ~ん(グビグビグビ)」
「飲み方に遠慮がないな、こいつ。ララ、全部飲まれる勢いだがいいのか?」
「ま、まぁ一度戻るなら水の補給もできますし、私なら大丈夫ですよ。早く戻りましょう、ダルクさん」
「ハァ、無事に帰ったらきっちり教育しねぇとな…」
ダルクと呼ばれた男は額に手を当て、呆れたようにそう呟いた。
誤字脱字があったらゴメンなさい