表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚構都市  作者: 虚構建築設計
7/11

断片:ハイウェイ

ハイウェイを走り続ける男のはなし

空中に巨大な側溝が走っていた。

それは、ハイウェイと呼ばれている。

男が、ハイウェイで車を走らせている。

ハイウェイは、とても退屈な景色だった。

延々と、等間隔で続く、白線の破線と照明とガードレール。

男が、ふと横を見ると、老人が息を切らせてハイウェイを必死に走っている。

男は、ふぅ、と溜息をつく。

車のガソリンが切れたか、故障でもしたのだろう。

ハイウェイではよく見かける光景だ。

ハイウェイでは何もかもが走っていなければならない。

それは、大人も、子どもも、老人も、犬も、猫も、兎も、亀も、何もかも。

男が車を走らせる横で、老人はしばらく懸命に走っていたが、やがて、息を切らせて立ち止まる。

すぐに、サイレンを鳴らしてレッカー車が老人の元へ来ると、老人をレッカーしていった。

それを、男はバックミラー越しに見る。

ハイウェイでは、走るのを止めたものは、すぐにレッカーされてしまう。

レッカーされたものが、どこへ行くのか、それは知らない。

知らないが、恐ろしいところにつれて行かれると、聞いていた。


男はハイウェイで車を走らせる。

メーターを見れば、ガソリンがあと僅かになっていた。

男は慌てて、ガソリンスタンドを求めて、あたりを見回す。

しかしハイウェイには、延々と、等間隔で続く、白線の破線と照明とがーでレールの他は何もない。

ついに、ガソリンが切れて、男の車が停止する。

すぐにレッカー車のサイレンが迫ってくる。

おとこは慌てて車を降りると、ハイウェイを走り出す。

走って、走って、そして息が切れてくる。

ぜいぜい息を切らせながら、男は走る。

更に、走って、走って、男はついに、息を切らせて立ち止まる。

すぐにサイレンを鳴らせてレッカー車が来ると、男をレッカーしていく。

男はそのまま、箱のような施設にレッカーされていく。

施設に入るとすぐに、男は検査を受けさせられる。

あらゆる検査をうけ、点滴を打たれ、あらゆる栄養剤にビタミン剤を与えられ、それから男は連れて行かれる。

連れて行かれた先は、ハイウェイだった。

ハイウェイでは、何もかもが走っていなければならない。

男は仕方なく走り出す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ