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虚構都市  作者: 虚構建築設計
3/11

断片:研究室

研究室の博士のはなし

研究室は闇で満たされている。

小さな、か細い明りが、博士の机に置かれている。

博士は、煙草をふかしている

その両手の指のすき間すべて、つまり、片手に4本ずつ、合わせて8本の煙草を同時に持って、その全てに火がついている。

そのために、博士の周りは煙が、もうもうとしている。

博士は両手の煙草を一度に吸う。

両手の平で口を覆うようにして。

そして、毎回、酷く咽る。

酷く咽て、そして、その後に、毎回、吐くようにする。

しかし、胃に何も入っていないのか、何も吐き出されることはない。

ただ、ゲーゲーと吐くようにする。

そのとき、博士は、これでもか、というほどに、目を見開く。

まるで、目玉が飛び出てしまいそうなほど、目を見開く。

そして、そのまま、博士の目玉が、ポロリと落ちる。

目玉は、床に落ちてコロコロ転がる。

床には煙草の灰が、今も、ぱらぱらと降り積もっている。

しっとりと濡れた目玉は、その灰をくっつけながら、ころころ転がる。

博士はおもむろに、落ちた目玉を拾い上げる。

目玉の灰を適当に払う

しかし塗れた目玉にくっついた灰はそんなことでは簡単にはとれない

むしろ、目玉についた灰が引き伸ばされて、汚れが、全体的に広がってしまう。

博士は、その、汚れた目玉を、目玉の入っていた窪みに、もう一度はめ込むと、また、両手で口を覆うようにして、煙草を吸う。

そして、酷く咽て、吐くようにして、目玉を取り落とし、それを拾い上げて、適当に灰を払うようにして、もう一度自分の顔にはめ込む。

目玉はどんどん汚れていく。

白目は灰色になり、そして、黒に近づいていく。

博士の目は 真っ黒になる。

博士にはもう何も見えない。

もうもうとした、煙草の煙が、部屋に漂っている。

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