表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/23

第6話

なんだかんだで、流されるままに川島にやられてしまった有紀。だけど、まんざらでもない!?

 いかがわしいホテル街から仰ぐ空は濁りのない青で、後ろめたい気分だった。


「朝飯食おうぜ」


 川島の言葉に否定も肯定も出来ず、ただ後ろからついて行った。近くにあった喫茶店に入りモーニングセットを注文して一服する。


「はい、これやる」


 向かい合わせに座った川島が、テーブルの上に名刺を滑らせてよこす。それを拾い上げて美味しそうにタバコを吸う川島と交互に見ていたら、無意識に溜め息が漏れた。

 

マネージャーとやっちゃったよ...

 

 働きだしてから彼とは音信不通だったから、エッチ自体も久しぶりだ。まさかこんなシチュエーションで一夜限りの経験をしてしまうなんて、自分じゃないみたいだ。


 今までは付き合った人としかしなかったし、しかも年の離れた相手は初めて。

 今までの彼とのエッチは本当に億劫だった。だけどしなければ彼が離れてしまうという不安から仕方なくやっていた。だから川島とのエッチは本当に驚いた。


 大人ってスゴい...って感じ。


 名刺に印刷された肩書きが実際の川島とはあまりにもかけ離れている感じがして苦笑いしてしまう。


「川島さんって、ほんっとに勝手...」

「そう?」


 短くなった煙草をもみ消しながら興味なさそうに川島が答えた。




 家に帰ると、何だか全てが夢だったような気がした。

 ベットに寝そべって、川島から貰った名刺を取り出すと名刺の裏には手書きで携帯の番号が記してある。


「紳士服飾部統括マネージャー...川島徹平...か...」


 覚えている限りの川島との会話を思い出しては1人でにやつく。

 強引に組み敷かれ、愉悦に歪む自分の顔を部屋中に張り巡らされた鏡越しに見た。我慢出来ずに川島にしがみついた時の肌の感触が忘れられない。

 背中一面に彫り込まれた藍色の双頭の龍が天に向かって泳いでいた。その何とも言えない微妙な肌の凹凸感が指先にこびりついていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ