表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/23

第23話

9時45分

百貨店のオープン15分前に中央レジカウンター前でフロアー朝礼が始まる。


ぞろぞろと面倒臭そうに各ショップのスタッフが集まった。

アタシの隣には綾子がいて、その横には佐伯がいる。



マネージャーの川島が緩く整列された前に立つと朝礼が始まった。



「おはようございます。」


ライトグレーのスーツに白シャツを着ているせいか日に焼けた肌は更に黒く見え た。


「昨日の売上は…」



そっか…海に行ってるんだ

そろそろ川島さんも夏休み入るかな



節電の為に効きの弱い冷房の中、ぼんやりとしていた。



この数ヵ月こうして川島を遠くで見ることはあっても目が合うことはない。

すれ違い様挨拶をする時だって、営業スマイルで目の奥に感情がない。



それなのに、今日に限ってバッチリロックオン。



川島の姿が近づいてくる。

レザーソールが固い床にあたる音が段々早くなる。



遂にアタシはイカれてしまったのか。


結局忘れたくても忘れられなくてどうしようもない。

女は男より終わった恋愛を引きずらないと聞いたことがあるけど、そんなのアタシには当てはまらない。

それは強い女の人だけだ。



川島の慌てた顔

初めて見る表情



そしてずっと忘れられないでいる強引な、だけど温かい掌の感触




体がフワッと宙に浮いた。

途端に周囲がざわつき始める。



「キャ…」

「アシスタントマネージャー、朝礼の続きを。私は彼女を病院に連れて行きます。遅番が来るまで誰か店に立たせてください。」



アタシは川島にお姫様抱っこをされたまま気を失っていった。

的確な指示を出し、颯爽と有紀を抱き抱える川島は王子様になれるんでしょうかねぇ…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ