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第20話
川島に捕まれた手首は痛いくらいなのにそんなことすら感じないくらいに心臓はバクバクいっていた。
「かわ…」
「シーッ」
川島は階段の踊り場にある倉庫の鍵を手早く開け、アタシを押し込むと続いて自分も入った。
倉庫は3畳程の狭さで、スチール棚が置いてあり用度品が乱雑に並べられている。あまり掃除されていないのか埃っぽく、その上窓がないせいで息苦しい。
川島が音をたてないようにドアを閉めた瞬間倉庫は暗闇に包まれた。
視界を奪われた中でドア越しに先ほどの女性達と思われる話し声が聞こえてきた。その声が徐々に遠ざかっていくと真っ暗な倉庫の中にはアタシと川島の息遣いだけが残った。
「で? 」
川島の促す声に我にかえった。
だけど顔色がうかがえない分不安が募り、
なかなか言葉が出てこない。
「メシ食う時間なくなっちゃうんだけど」
とげのある言い方に溢れそうになる涙を堪えるのが精一杯で、思考は停止状態だ。
「あ、会いたかったの。川島さんに…」
川島にせっつかれて咄嗟に出た言葉は自分の想像を遥かに上回る本気の告白だった。