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妖精と黒獅子  作者: 水仙あきら
序章
1/79

初投稿です。色々とお見苦しい点などあるかと存じますが、寛大なお心で見守って頂けたなら幸いです。

よろしくお願い致します!

 悠遠の昔、無数の悲しい別れがあった。

 それは友人であり、親子であり、そして恋人であった。

 歴史の流れに抗うため、彼らは世界との決別を選ぶ。自らの心の引き裂かれるような痛みと引き換えに。


  *


 慣れ親しんだ屋敷を出て、女は重い足取りで振り返った。艶やかなブルーグレーの髪と水色の瞳を持った、清廉な容貌の女である。

 振り向いた先には唯一愛した男がいて、慟哭を押し込めた瞳でこちらを見つめていた。


「本当に行くのか?」

「ええ。私が……私たちがいる限り争いは無くならない。もうこれ以上誰かが傷つくのを見るのはたくさんなのよ」


 苦しげな問いに、女は顔を歪ませて俯いた。その儚げな様子に男は両の拳を強く握りこむ。


「すまない……すまない。全ては人の欲望のせいだな」

「いいえ、悪いのは私。全てを捨てていく私をどうか許してちょうだい」

「泣いているのか」

「ごめんなさい。だって……悲しいのだもの」

「ああ……そうだな。ひどく、悲しい」


 女の透き通るような瞳からいくつもの涙が零れ落ちていく。

 もう二度と会えないであろうことは、共によく解っていた。


  *


 そして人々は忘れていく。彼らの存在を、忘れていく——



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