4/6
黒子
少女が言っていた黒子の意味はすぐにわかった。街では人の形をした黒い塊がダンボール箱をUFOのような空に浮かぶ円盤状の乗り物からおろしていた。黒い塊はダンボール箱を両腕に抱えるとスーパーの中へと入っていった。
「あれが黒子?」
「はい。真っ黒でしょ?だから黒子って呼んでるんです。黒子が食料を毎日スーパーとかの施設におろすからサイに食べ尽くされる心配はないんです。」
確かにこの様子なら食べ尽くされることはないだろう。問題はどうやって食料を取ってくるかだ。仮に今日はサイの目を盗んで食料を手に入れることができたとしても、食料が必要になるたびに命がけなんてのは御免だ。
「あ、そうだ。まだ自己紹介してなかったですね。私はイトっていいます。」
手を伸ばしながら自己紹介をするイトの手をとりながら僕も自分の名をイトに教えた。