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人の終わり

　ある日を境にほとんどの人間から理性が失われた。理性を失った人間は日常生活を捨ててスーパーやコンビニなど、とにかく食料がある施設を不当に占拠するようになり、それを妨げようとするものは例え家族であろうと躊躇いなく殺した。

　しかし、それはまだマシなほうだ。食料がある施設の占拠に失敗した人間はまるで生きたままゾンビにでもなったかのように視界に入った人間を誰彼かまわず喰い殺した。

　もはや人間には社会も家族も感情もない。僕もいつかああなってしまうのだろうか。もう限界だ。地下室に保存していた非常食も底をついた。

　外に出るとなると理性を失った人間との戦闘は避けられないだろう。しかし、このまま地下室に引きこもっていても餓死するだけだ。それに外に出れば僕以外の理性を保った人間と出会えるかもしれない。

　わずかな希望を胸に、僕は狂った世界へと飛び出した