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第二の人生は奴隷から♪  作者: ちあきち
1章
2/3

プロローグ

0章は転生以前の物語

1〜x章が本編

サイドストーリーはS章

としたいと思います。

少女は目を覚ました。

今日の夢も最悪だった。


主人に殴られ蹴られそして生きたまま臓器を抉られる夢だった。そしてその夢はいつ正夢になってもおかしくない現実が更に少女を絶望に陥らせていた。


少女は栄養不足により働かない頭でふと思った


後どれくらいで死ぬんだろう

その時は苦しくないといいな


その望みは主人の暴行癖を知っている為叶えられないだろうと思い、そんな考えをした自分を嘲笑した。

その時たまたま主人がこちらを見ており、自分が笑われたと思ったのかこちらに来て無言で腹部を1発蹴りあげた。

「うぐっ…」

少女が息を漏らすと主人は満足気に笑い区画を出ていった。



彼女は奴隷であった。犯罪奴隷では無い。

生まれた時からの奴隷なのだ。

彼女の親も奴隷であった。

彼女の属する区画は最底辺区画、通称「肥溜め」と呼ばれていた。


守銭奴である主人ですら売れるものと考えていない、殆どストレス解消品か勿体無いから死ぬまで置く位の価値しか持たされていない区画であるために檻の中の奴隷には手枷しかつけられておらず、自由に動けるようになっていた。

もっとも、動けるような気力と体力のあるものは極々少数であるだろうが。


そのような場所であるが故に少女は産まれたのであった。

彼女が3歳になった時両親は餓死した。

今では顔も思い出せないし感傷も無い。

それから二年の月日が経った今彼女は毎日を半生半死で乗り越えることに必死であった。


彼女は気づいていない。

何故自分が生きていられるのかを。

食事は一日一回最低限の流動食と水、衛生環境は糞尿が垂れ流しの為最悪である。

両親は食事の多くを少女に与えていた。

彼女の周りは出来るだけ綺麗にした。


両親は少女に対し自己犠牲の最大限の奉仕をした。

が、所詮それは最大限であってもスラムに住むものが少し気をつけた程度の環境と同等である。結局自己満足でしかない行動であったのに何故少女は生きれたのか。

彼女の周囲は比較的綺麗であった。

それは両親が死んだ今でも。

その不思議さに今はまだ誰も気づかない。誰も…





ある日主人がハンカチで口を押さえながら区画に入ってきて言った。

「お前ら! これからは飯の回数を2回に増やす!感謝しろ!」

それだけ言い残すと肥溜めにはあまり居たくないのだろう。そそくさと出て行った。


残された奴隷は主人の言葉をゆっくりと咀嚼する。

そして所々から「何故だ…」「一体何が…」と呟きが聞こえた

少女もまた周囲と同じく何故?と疑問に感じていた。



実はこれは主人の気前が良くなったとかいう理由ではなかった。

主人はこんなことしたくは無かった。

だが、王都からのお触れは最上級の効力を持ち、更に奴隷商会には監査すら入ると噂されていたため、【指定する量以上の食事を全ての奴隷に日に2回以上食べさせよ】というお触れに従わざるを得なかった。


これは王宮側が奴隷商会と裏の世界を兼任するもの達に力を付けさせすぎると反乱を起こされる可能性が高いと考え、出費を増加させるために出されたものであった。

王宮側はその奴隷商会の情報を掴んでいるが、裏の世界もまた国に必要であるためこのような間接的な攻撃しか出来ぬ事に歯がゆい思いをしていた。


ともあれそのような事を知らない少女達は今までよりも量が多い食事が2回出来る事に素直に喜んだ。


多少栄養失調が改善されたことにより思考することが出来るものも増えてはいた。

少女も少し動く事は大丈夫な程になっていた。



それから暫くしたある日の事少女の人生を変える存在が現れた。


その子の名はリアと言った。


その日の昼、新たに肥溜めに入るものが来た。

奴隷にしては肉付きの良いブロンドの髪の女の子。

少女は見た目から多分私と同じ位だなぁと遠巻きにその子を見て思った。


その女の子は檻に入ると周囲をビクビクしながら見渡し何故か私の近くにきて座った。

彼女から見れば私の周囲は人が少なくまだマシだったのだろうと少女は考えた。


彼女は此方をチラチラと時々見ていたが結局その日は何もなく終わった。


次の日、朝の食事を終え暫くすると意を決したように女の子は私に近寄りか細い声で言う

「あ、あのお話…し、まs」

声がフェードアウトしていく。

何を言っているか殆ど聞こえなかった少女は声は出ることを確かめ

「なに?」

と少々苛立ちを見せる。


その言葉にビクビクしながらも喋り出そうとする女の子に少々は

「用がないならあっち行って」

と拒絶する。

すると、少女はその言葉に少し食いかかったように

「お話して! 私はリア!あなたの名前は?」


それに対し、少女は言葉を返した。




「声がでかい、煩い」



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