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あなたの国のうたは

月明かりの下で、二つの影が一つになった。

風は優しく吹き、星は静かに瞬いている。

胸を締め付けるあの忌々しい曲は、もう耳に届かない。

何故なら、本当の曲を歌える人が彼女の耳元で小さく笑い声を立てている。


この人は笑っている。

きっと、本当の曲を知っているから。

そうだわ。

気にする事なんてないのだわ。

あれは偽物なのだから。

わたくしは、あの曲で踊ったのではない。

だったら、わたくしも笑い飛ばしてしまえるわ。


ああ、それにしても、この人はなんて強いのかしら。


あなたの国のうたは、あなたのものね。



【蜥蜴の果実】

:『素直なきもち』から抜粋(一部脚色)

滅ぼさせた国の国歌を、他国で勝手にアレンジされ使われていた事に憤るヒロイン。

反面、当の亡国の少年は少しも気にしていない。

ヒロインは、少年の強さに憤りを吹き飛ばす。


もう一遍



あの夜この曲で踊ったね

壊れた音楽器が飛び飛びに

あなたの国の音楽を奏でた

鳴らない節はあなたが鼻歌で教えてくれたね

廃墟の酒場で月の光と小さなランプ一つ

それだけで私たちふたりには十分だった

それ以上明るかったなら

伝えてはいけない気持ちがあなたに見えたかしら?


今 滑らかに音楽家達がたくさんの楽器であの曲を奏でているよ

こんな曲だったんだね 

そう思いながらひとりで聞いている

踊りましょうとたくさんのひとたちが手を差し伸べるよ

連れて行こうとするの 

豪華なダンスフロアとたくさんの燭台の中へ 


わたしの知っているあなたの国の音楽は

あの夜あの廃墟の酒場で 

月の光と小さなランプ一つ

壊れた音楽器が飛び飛びに奏でて

あなたがわたしを抱いて 優しく歌っていた

あの人たちはそれを知らないまま

こんな風に 

あなたの国の曲まで奪っていくよ




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