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太陽の貴公子  作者: みずっち
2/19

第2話

二次の皆さまから何人かお借りしました。

皆さま有り難う御座います。


以下敬称略


二つ名:西武蔵坊レオ丸・ユウ

昔の因縁:テイルザーン・西武蔵坊レオ丸

ホネスティ関係者と情報:十条=シロガネ・スーノ(ビクトル)・杏奈

ホネスティのシブヤ支部は、元旅館を改装した形のもので、三階建てになっている。

一階の部分は管理人室と使用人の部屋、そしてキッチンやトイレ、浴室等水回り以外はロビーになっており、三階まで吹き抜けになっていた。

このロビーには大きな長方形のテーブルが置いてあり、食事をしたり会議をしたりするのに都合がいい。二階、三階の廊下からも見下ろせるため、そこから発言する事も可能だ。

客室は二階と三階部分に合わせて十五部屋有る。二階に八部屋、三階に七部屋有り、現在集まっている人数分は何とか確保出来るようだ。

今は、集合した全員が思い思いの場所に居る。椅子に座ったり壁に凭れたりしているが、皆一様に一人の女性に注目している。


「これで全員揃ったかしら」


全員の視線を浴びる妖術師が、椅子に座って皆を眺め回す。この家(ギルドハウス)の所有者であるルーシーだ。

狼牙族だが耳は隠しているらしく、一見して人間族と見分けが付かない。


「そうみたいだね。僕たちが最後か」


隣に座るジョージが、腕を組み、顎に手を当てて頷く。取り敢えず、シブヤで巻き込まれた者は無事に全員集合したようである。


「そんじゃあよ、新人さんも居るみたいだし、先ず自己紹介しねえか?」

「そうね、そうしましょうか」


壁に凭れていた施療神官にルーシーが頷いた。先ずはホネスティからのようだ。


「じゃあ私から。名前はルーシー、性別は女、狼牙族でメインクラスは妖術師、サブは木工職人、どっちもレベル90です。この部隊の運営を任されてます」


そこで一旦区切り、舞を一瞥する。


「…やっぱりFカップは羨ましいなぁ」

「えぇっ!?」


舞は咄嗟に胸を隠す仕草をするが、谷間までは隠せない。心底残念な様子で舞と自分の胸を見比べた。

体型はスレンダーな細身でモデルのように均整が取れているが、そこは劣等感が込み上げるらしい。


「育ちかなぁ。それとも遺伝?せめてもう少し盛っとけば良かった」


本当にショボーン(´・ω・`)と言う顔文字が似合うぐらい落ち込んでいる。この肉体ではCぐらいだが、実はこれでも見栄を張って作ったため、現実より大きい。


「僕は小さくてもいいけどねぇ、あっはっは」


ジョージがあっけらかんと笑う。実際彼はうなじが一番好き(フェチ)なので、胸の大きさは気にしない。


「あなたやっぱり大好き♡」

「ぐわっ!」


隣に座っていた旦那(ジョージ)の首にいきなり抱きつき、油断していた彼は椅子から転げ落ちそうになってしまった。


「もげろ」

「爆発しろ」


周囲から怨嗟の声が響くがいつもの事だ。ジョージはその合唱を無視してルーシーを椅子に戻した。


「つーか、<外観再設定ポーション>、倉庫に有りますよね?」

「あ、もういいわ、ジョージがこれで良いって言ってくれたし♡」


ルーシーはカイトの提案を事も無げに却下し、ジョージに寄り添った。


「次は僕かな。名前はジョージ、男の狐尾族で召喚術師レベル90、サブは細工師レベル90。後、この部隊の保護者で、本部との連絡は主に僕がやってる」


基本的には夫婦ともに幹部で、二人とも連絡係だが、大抵ルーシーが部隊の運営を仕切るため、その時はジョージが連絡係を務めている。

”保護者”というのは、いわゆる本部からの目付け役だ。自他ともに認めている。

とは言っても彼もゲーマーであるため、部隊に付いて行くと一緒に羽目を外して後でルーシーに怒られた事も一度や二度では無いが。


「いつもお世話になってます」

「いやいや、好きでやってる事だから」


陽輔のお辞儀に、ジョージは軽く受け流した。本当に楽しんでいるので特に文句も無い。


「じゃ、次、陽輔君だね」

「よっ!先輩!」

「イーサン後で覚えとけ」


近くに座る守護戦士の野次に突っ込み、陽輔が席を立った。


「陽輔です。男でエルフ、盗剣士と料理人で両方90です……こんなとこかな」

「え~、それだけ~?」

「ん?…他に何か有ったっけ?」


イーサンの煽りに首を傾げる。


「え、だって俺たちのリーダーじゃないっすか」

「あ~、<ヘリオポリス>か」

「ぐっ…」


イーサンがニヤニヤしながら言い放った言葉に、向かいに座った武闘家が呟き、陽輔は押し黙った。


「何ですかそれ?」


カイトの隣に座った凜太郎が、興味津々な様子でな疑問をぶつけてくる。純粋無垢な目が陽輔をじっと捕らえて離さない。


「陽輔君を中心としたホネスティの一部隊だよ。彼の二つ名、まぁあだ名みたいなもんだけどね、それが<太陽の貴公子>って言うんだ」

「ゲオルグさん止めてくだs」

「すげえええ!!かっこいい!チョーかっこいい!!」


武闘家を制止しようとしたが時既に遅し、凜太郎がはしゃぎ始めた。

二年ほど前、陽輔たちがクリアした中隊規模(フルレイド)のクエストがあった。現実では中米、マヤ文明の遺跡が有った場所に実装されたレイドコンテンツ<黒き太陽の凶つ神>。

現在、彼が使っている幻想級の双剣<太陽神の双子(ライジング・サンズ)>はそのクリア報酬である。


「<太陽兵団(ヘリオポリス)>っつってな、先輩がどっかクエスト行く時に集まるんだ。先輩がリーダーなんだぜ♪」

「おおおおおおおおおおおおおおお!!」

「先輩の二つ名にあやかってな、皆でそう名付けたんだぜ」

「すっっっっげえええええええええええええええええ!!!」

「お前煽るなよ…」


鼻高々な高校の後輩(イーサン)の説明に、凜太郎が目を輝かせて陽輔を見上げる。期待と羨望の眼差しを向けられた本人はがっくりと肩を落とした。


「大体二つ名って一線級のプレイヤーは皆持ってるぞ。<西のネクロマンサー(レオ丸法師)>とか、<孤高の毒使い(ユウさん)>とかな」


ゲオルグが腕を組みながら口の端を吊り上げた。


「いや、そんな人たちと比べられても…ていうか僕そんなレベルなの?」

「そうなんじゃねぇの?ホネスティの皆は大体知ってるぞ」

「いやなんかさぁ、中二病っぽくて恥ずかしいというか…それにそんな第一線で活躍なんて…」


カイトの指摘に、頭を掻きながらぼやく。正直、本人に活躍などという実感は無い。

時々<太陽>と略される事も有るが、”ホネスティの<太陽の貴公子>”と言えば彼の事だというのは、大手ギルドには知れ渡っている。


「多分アイザック君かな」


端に座った男の神祇官が、女の声で愉快そうにくっくっと肩を震わせた。

そう、厄介なのは、黒剣騎士団の総団長ギルドマスターアイザックが、街中でたまに、


―――よう<太陽>!うち来ねえか!―――


と大声で挨拶して来る事だ。その所為で中堅規模のギルドまで意外と広まってしまっている。


「あれやめて欲しいんですけどね…」

「はっはっは、まぁムリだろうね」


ジョージの言葉にベテラン組は皆頷いた。十中八九、あの性格は今後も変わらないだろう。

レイドの話を聞きたがる凜太郎に、その内、と言って陽輔は座った。


「俺はゲオルグ、ドワーフの武闘家で男、サブは竜使い、どっちもレベル90」


陽輔が座ったの確認すると、腕を組んでいた武闘家が口を開く。


「まぁよろしく」


フッと口の端を吊り上げ、短く締め括った。


「そう言えば、ウィリーさんは体そのままにするんですか?」


舞が神祇官の男に聞く。


「あ~、あたしはもう少しこれでいいよ。ちょっと男の体ってのも楽しんでみたいからね」


ウィリーは、気怠そうに手を振りながら答えた。


「じゃあ、次あたしでいいかい」


彼は座ったまま脚を組み、気だるげに話し始める。


「名前はウィリー、人間で神祇官のレベル90、アバターは男だけど中身は女だからよろしくぅ。サブは調剤師で、こっちは74だけどねぇ」


手をヒラヒラさせながら話す仕草は本当に面倒臭そうに見える。それでもこれがウィリーの普通である。

何か作業を頼むと、面倒臭いと言いつつ手伝ってくれたりする辺り、ひねくれた世話好きといった感じだろうか。

サブをレベル90に(カンスト)してないのは、単純に戦闘の方に重きを置いているからだ。


「所謂、ネナベってヤツだな」

「あんたはネタキャラでしょ」


壁際の施療神官の茶々に、ウィリーがこれまた面倒臭そうに突っ込み返す。


「うるせえな、やっちまったモンはしゃーねーだろ」


施療神官は苦笑いを浮かべた。


「あぁ~、んじゃ、次俺だな。猫人族の男で、メインは施療神官の90、サブは…」


最後に言いよどんだが、意を決したように呟く。


「…吸血鬼だ」

「回復職で吸血鬼って…なんか変な組み合わせ…」


凜太郎の素朴な突っ込みに、何人かが肩を震わせる。エルダーテイルをやる前に少し調べたらしい。

だが、本当の”ネタ”はそこでは無い。


「名前は何て読むんですか?記号ばっかりですけど」

「うん、いや、聞かれるとは思ってたんだが…」


凜太郎がきょとんとした顔で首を傾げる。施療神官の男は少し困った様子だ。


「この前ネットで見た顔文字っぽいですけど?」

「バックスラッシュ、括弧開く、ハット、アルファベット大文字のオー、ハット、括弧閉じる、スラッシュ、ですか?」


文絵が記号を読み上げていく。因みに全て全角のようだ。彼女は今どき珍しく、あまりネットスラングは知らない様子である。


「あぁ~……まぁ皆は”ヤッホーさん”って呼んでますよ」

「ぶふー!」

「さすが!<出落ち>君!」


陽輔が苦笑しながら説明したのを皮切りに、何人かが思わず失笑を漏らした。

ルーシーはテーブルを叩き、ウィリーは腹を抱えて仰け反り足をばたつかせる。ジョージやゲオルグ、それまで静かだった吟遊詩人も肩を震わせて堪えているようだ。


「ウィリー笑うんじゃねえ!」

「だって!だって!」

「おい比呂!」

「いや…す、すみま…ぶくくっ」

「お、お腹!お腹痛いよぅ」

「ルーシーさんまで…ちくしょう、これが若気の至り(黒歴史)ってヤツか…」

「出落ち!出落ち!ひーひー」

「…くそっ、ミナミの奴ら<出落ちクレリック>なんて付けやがって。今度会ったら許さねえぞ、特に名づけたヤツ(テイルザーン)広めたヤツネクロマンサーのおっさん…!」


ヤッホーは苦虫を噛み潰したような表情で呟き、壁に向かって両手をついた。いわゆる反省のポーズの変形。

広まった一因はナカルナードにも有るのだが、最大の功労者はやはり例の法師(レオ丸)だろう。

因みにホネスティ全体では、<出落ち>の名を冠するプレイヤーが四人居て、全員纏めて<出落ちカルテット>と呼ばれている。

いずれも顔文字で、名付けたのもミナミの連中だ。実は<太陽兵団(ヘリオポリス)>の常連だったりする。残りの三人は現在アキバに居るそうだが。


「…他の三人大丈夫かなぁ」

「がっくりさんとあぼーんさんとぷぎゃーさんか」

「や、やめて!今やめて!お願い!」


苦笑しながらの陽輔の呟きに、カイトが笑いながら三人の名前を挙げる。舞の腹筋もヤバいらしい。


「じゃ、じゃあ僕ですね」


先ほど比呂と呼ばれた吟遊詩人が、息を整えて話し出した。


「名前は比呂、体は女ですが、中身は男です。こっちはウィリーさんと逆ですね。まぁ、所謂ネカマです。法儀族の吟遊詩人でレベルは87、サブは辺境巡視です」

「体どうする?」

「僕もこのままでいいですよ、取り敢えずは。ポーションは自分でも持ってますからね」


ルーシーに頷き返し、締め括る。ホネスティのプレイヤーはこれで全員だ。


「んじゃ、<三月兎の狂宴>は舞ちゃんからね」


ルーシーの指名が入り、舞が席を立った。


「舞です。女、ハーフアルヴの森呪遣いでレベル79、サブ職業は裁縫師でこっちは46です」

「あぁ、そういやまだカンストしてないんだっけ」

「叔母さんや菜穂美さんたちと喋ってる方が楽しくて…」


ウィリーの呟きに、彼女は照れたようにもじもじする。

舞は実際、エルダーテイルを始めてから、もうすぐ一年経つ。少し熱心にやれば、既にレベル90に達していてもおかしくは無い。

実は井戸端会議は一因では有るが、しょっちゅう陽輔のアパートに行って彼の操作を眺めている方が時間が長く、寧ろそちらが最大要因になっていたりする。舞本人は気付いてないらしい。


「次俺か」


舞が座るのと入れ替わりに、カイトが手を挙げた。


「カイトです。人間の男で、暗殺者90、サブ調教師、こっちも90です。陽輔とは、幼稚園(ガキの頃)からの幼馴染(腐れ縁)っすね」

「へぇ~、幼馴染ですか」

「まぁな。コイツとしょっちゅう遊びに行ってさ、服汚してお袋に怒られたぜ」


凜太郎に、ウヘヘと笑いながら楽しそうに話す。


「因みに舞ちゃんは中学の同級生で、イーサンは高校ん時の後輩だ。あ、舞ちゃんは狙うなよ、陽輔の彼女だからな」

「はいです!」


カイトは、凜太郎の敬礼を見届けるようにニヤリと笑った。


「イーサン、人間の守護戦士でレベルは52、あ、一応男っす。サブは筆写師でレベル44っす」


イーサンはそう言ってペコリと頭を下げる。レベルが低いのは、二ヶ月ほど前に始めたばかりだからだ。

<ダザネッグの魔法鞄>も、つい四日前に取得した所である。鞄を手に入れた後、はしゃぎ過ぎて高レベル帯に突っ込み、神殿送りになってしまったが。


「あん時は大変だったぜ」

「すんません、つい」


カイトの弄りに、頭を掻きながら謝る。


「凜太郎です!」


ガタタン!


「あぁっ!ごめんなさい!」


凜太郎が指名を受け、シャキーン!という効果音が出そうな勢いで立ち上がった。その所為で、座っていた椅子が倒れてしまう。


「そんな緊張すんなよ♪」

「は、はい…」


カイトが椅子を直し、少年の肩を叩く。すっかり萎縮してしまった。


「え~と…ドワーフの武士で、まだ22…あ、男、です。サブ職業はまだ決めてないです…」


恥ずかしさも相俟ってか、下を向いてしまう。


「サブまだかぁ…まぁ早苗(・・)さんに相談してみたらいいんじゃないかな」

「サナエさん?」


ルーシーの言葉に、凜太郎がきょとんと首を傾げた。


「あぁゴメン、<三月兎(マーチヘア)>さんの本名だよ。<狂宴(そっち)>のギルマスはあの人だからね」

「はぁ…分かりました」


緊張は解れたようだ。大人しく座り、文絵と交代する。


「文絵です。人間の女性で、付与術師レベル16です。あの、私もサブ職業はまだなんですけど、皆さんのお役に立ちたいので、宜しくお願いします」


文絵はペコリと頭を下げた。


「さて、冒険者(ぼうけんしゃ)は、これで全員かな」

「「「冒険者(・・・)…?」」」


ルーシーの持って回ったような言い方が、何人かの頭に引っ掛かった。


「そっ、私たちは<冒険者(プレイヤー)>…元々この世界の住人じゃないの。でね、元から住んでる人たちも居るのよね」

「…大地人(だいちじん)か…!」


ジョージが、ハッと思い出したように呟く。ルーシーは、コクリと頷き、


「二人とも来てくれる?」


キッチンに向かって叫ぶ。


「「は~い」」


二人分の声が重なり、キッチンの奥からロビーに響いた。トコトコと靴音を鳴らしながら、二人のメイドが現れる。


「一ヶ月前に雇ったでしょ、NPCのメイド二人。あの子たちよ。この世界では、彼女たち含めて、皆普通の人間になってるの。因みに姉妹だそうよ」

「姉のイザベラです」

「妹のメリダです」


若干緊張した面持ちで、二人揃ってお辞儀をした。確かに顔立ちが似ている。そう言えば声も似ているか。いや、問題はそこでは無い。


「私もねぇ、最初はビックリしたんだけど、そういう事らしいわ」

「まさか…」

「いや、でも…」

「NPCってAIじゃ…」


年長組(ベテランたち)がざわめく。ゲームだった時は、単なるAIだった。アップデート、およびデバッグの度に徐々に高性能になってきたとは言え、所詮<人形(プログラム)>だった。


「えっ?お姉さんたち人間ですよね?」

「あの、えっ?何か問題なんですか?」


凜太郎が姉妹を指差して周りに聞く。文絵も、話に付いて行けないようで、きょろきょろと見回している。

初心者の親子は先入観があまり無いためか、直ぐに受け入れたようである。


「なるほど、大地人の姉妹さんっすか」

「イザベラさん、メリダさん、宜しくお願いします」

「はい、こちらこそ宜しくお願いします」

「宜しくお願いします、冒険者の皆さん」


イーサンと舞も、少し驚いたものの、ベテラン勢よりはすんなりと認めたらしく、もう落ち着き、二人の姉妹と挨拶を交わしている。

カイトも歩み寄って少し会話しているようだ。この五人と大地人姉妹は既に打ち解けて談笑している。


「それからね、彼女たちがここに来たのって、この世界の時間で約一年前だそうよ」

「何っ!?」

「それは本当なのかい?」

「えぇ、どうやら本当らしいわ。十二倍の時間差、私たちがこうなるまでの分は反映されてるみたい」


ゲオルグが叫び、ジョージがルーシーに聞く。彼女は頷いた。


「う~ん、それじゃあ…」


それまで口を閉じ、少し考え込んでいた陽輔が口を開く。ざわめいていた全員(ベテラン組)の視線が彼に集中した。


「僕たちは気を付けないといけませんね」

「えっ?」

「何をだ?」


比呂とヤッホーが怪訝な顔で陽輔に聞く。陽輔は、頭をポリポリと掻きながら周囲を見回す。


「大地人の人たちは…ちゃんとした人間であって、もうNPCでは無い…って事です」


認識を改める必要がある。要はそう言う事だ。






    ◆    ◆    ◆






その夜、ジョージが本部(アキバ)に念話を掛けている。今日は夜に連絡し合うという事になっていたからだ。

相手は最古参クラスの冒険者(プレイヤー)アインス(ギルドマスター)の側近の一人。


「えぇ、十条さん…はい…こちらも状況は同じですね」

『そうですか、そちらもゲートは使えませんか…まぁ皆さんご無事で何よりですが…』

「いいか悪いかは分かりませんね。巻き込まれたのは事実ですから。それに、料理に味が有りません」

『確かに、これは少し厄介かもしれませんね…現実で我々がどうなっているか、全く以て見当も付きませんし』


紳士然とした物腰の柔らかい話し方をする暗殺者は、バリトンの効いた低い声で唸る。

つい数時間前にこうなったばかりだ。何も分からないのは当然と言えば当然である。


『処でジョージ君、陽輔君が新人さんを二人連れて来たそうですね』

「あぁ、はい、付与術師の文絵さんと、武士の凜太郎君という親子です。合流する途中で声を掛けられたそうで、今は<三月兎(マーチ)>さんの所に入ってますよ」

『そうですか、それは良かった。右も左も分からない状態では何かと不便ですしね。早苗さんは信頼出来ますし。それはそうと、一つお聞きしたいのですが』

「何です?」

『文絵さんのボリュームはどのぐらいか分かりますかねぇ?』

「…相変わらずですね」


ジョージは思わず苦笑した。この十条=シロガネと言う男、無類の巨乳好き(おっぱい星人)で、大きいほどいいらしい。実際の年齢は五十を超えていたはずだが。


「まぁご自分で確認して下さい」

『よほほほほほ、では、今度お会い出来たらそうしましょう』

「はいはい」


ジョージの呆れたような声が、向こうの耳に届く。尤も、無体な事はしないと、何故か確信出来る。自制心と言うヤツか。

親しい友人たちにしか自分の趣味は漏れないため、<似非紳士>と呼ばれたりもする。そして、それを本人も分かっていて楽しんでいる節が有る。


『あ、そうそう、後二つ、情報が有りました』

「何ですか?」

『いえ、実は、既に外に出て戦闘訓練を行った者が居りましてね。モンスターが現実化して、手こずったそうです。それで…』

「で?」

『死んだそうです。低レベルの相手だったそうですが。ただ、大神殿で復活したようですよ』


つまり、死んでも復活出来るが、この世界から出られない。


「なるほど。それで、二つ目は…?」

『ビクター君がサブアカウントで巻き込まれたそうです。今、現実の山形の辺りに居るとの事でした』

「ビクトル君が…そうですか。じゃあ、今の彼はどういう職業なんですか?」

『名前はスーノ、森呪遣いだそうですよ』


ついでに、エルダーテイルのエの字も知らない初心者と一緒らしい。戦闘訓練を行いつつ、アキバに向かうとの事だ。


『あ、ビクター君の事は他には伏せておいて頂けますか。本人が匿名希望という事ですので』

「いいんですか?僕に教えちゃって」

『君だけになら、と思いましてね。彼は、良く君たちを手伝っていたじゃありませんか』

「それは…僕では無くて陽輔君(あっち)の方がいいのでは?」

『連絡係はジョージ君ですよ。後はそちらに任せます。それに…将来有望な若者に、余計な心配はさせたく有りませんからね』


それを最後に念話が切れた。


「ちっ、丸投げか…まぁ、こんな状況じゃあ迎えにも行けないしな。暫らく伏せとくか…」


ジョージは、割り当てられた自室の窓から、星を見上げた――。

なげえよ、1話目あんなに短かったのにorz

周辺情報入れ過ぎかなぁ(^^;


どうしよう、ビクトルさんが仲良い設定になっちゃったgkbr

しかも年齢聞いてねぇしorz

取り敢えずジョージさんより年下にしたけど大丈夫か?



テイルさん、レオ丸さん、シブヤには行かないで下さいw

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