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夏の薫り  作者: 剣一
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第25話

第25話を投稿します


よろしければ読んでいって下さい

「う、う〜ん…」

急に目が覚めた僕は時計を確認する。

デジタル時計には午前七時半と映し出されていた。

休みの日はもう少し寝ているため、二度寝をしようと目を閉じたが、完全に目が覚めているため、眠りに付く事は出来なかった。

「顔洗いに行くか…」

寝る事を諦めた僕はベッドから立ち上がると、部屋を出た。

「あら、隼人君、おはよう。

早起きねーもうちょっとで朝ご飯出来るから待ってねー」

階下で待っていたのはエプロン姿でキッチンに立つ薫さんだった。

「あ、お、おはようございます。」

僕はそう言って、洗面台へと向かった。

顔を洗い、寝癖でボサボサの頭を洗って直した僕が再びリビングに顔を出した時にはテーブルの上には美味しそうな朝食が出来ていた。

椅子に座って改めてテーブルを見る。ご飯にお味噌汁、鯵の干物、出汁巻き玉子にほうれん草のお浸し、納豆と言った和食が綺麗に並べられていた。

「うわぁー…

す、すごく美味しそう…」

僕は感動して上手く言葉が出なかった。

「もぅ、そんなびっくりした顔しないでよ〜

ほら、食べましょ?」

薫さんはそう言うと、いただきます、と食べ始めた。

僕もすぐに

「いただきます」と言ってから、まずご飯を一口頬張った。

少し咀嚼してから、味噌汁も口に含む。口の中にすぐさま出汁の良い風味が広がった。

「めっちゃ美味しい…」

僕の口から自然に言葉が漏れた。

「本当?」

「はい。化学調味料じゃこの風味は出せませんよ。」

僕がそう言うと、薫さんは少し驚いた顔に変わったが、すぐに納得した顔になった。

「やっぱり隼人君はちゃんと作った出汁か分かるのね〜手間暇かけて良かった〜」

「こんなに美味しかったら誰だって分かりますよ。」

薫さんが作った朝食は僕が作るより断然美味しかったので僕はすぐに食べ終わってしまった。


「隼人君は今日、どこか出掛けるの?」食べ終わって少しゆっくりとしていると薫さんが聞いてきた。

「いえ、今日も家で勉強ですね。」

「そっか〜連休なのに大変ね…」

「確かに大変ですけど、ある程度の大学には入りたいですからね。」

「そうだよね…隼人君、頑張ってね。」

薫さんはファイト、と両腕でガッツポーズを作り、応援してくれた。僕もはい、と右手でガッツポーズをしてから食器を流しに運んでそのまま部屋へと戻った。


「隼人君、お昼御飯出来たわよ〜」

部屋の外から薫さんの声が聞こえた。

「は〜い。今行きます。」

ノートと問題集を閉じ、シャーペンを置いて僕は部屋のドアを開けた。

昼食は焼きそばだった。


食べ終わると晩御飯の買い出しに向かった。昨日は少し遅かったため、あまり買わなかったからである。

「何か連続で悪いわねぇ…」

そう言った薫さんは僕に対して心から悪いと思っているような表情をしていた。

「いえいえ…家事とかやってくれるだけでもすごく助かりますよ。

それより今日の晩御飯は何にするんですか?」

「ふふふ〜秘密よ。」

薫さんはまぁ任せなさい、とニコッと笑った。


作る物が決まっていると、買う物はすぐに選ばれていった。

僕が持つカゴには数種類の野菜、豚肉の肩ロースが入れられた。

「隼人君、卵はあったかしら?」

「えっと…ないです。」

僕がそう答えると薫さんは有機卵を選んだ。

「確か牛乳はあんまり無かったわよね?」

「あーすいません…覚えてないです。」

薫さんはちょっと考えた後、レジに向かう途中で牛乳もカゴに入れた。

「他に買う物は何かあるかな、隼人君?」

「あっちょっと良いですか?」

「大丈夫よ〜」

僕は冷蔵庫に常備しておいてるお茶のパックが切れているのを思い出した。

僕が売り場の方へ向かうと薫さんは後ろから静かに付いて来た。

「あったあった。

これでもう大丈夫です。」

「じゃあ行きましょっか?」

「はい。」

会計を終え、帰路に着く。まだ空は青く、明るかった。

車道はいつものように車やオートバイが忙しなく走っているのに対し、歩道の方は逆に僕達二人しかいなかった。

僕ののんびりと、大股な一歩を踏み出すと、薫さんはひょこひょこと二歩踏み出して、僕の隣に並ぶ。

柔らかな風が二人の間を抜けていった。その風は僕の頬を撫で、薫さんの髪を舞わせた。

ぴょんと、薫さんが僕の斜め前に出て、僕の方を向いた。

「ねぇ…隼人君…」

そう言ってきた薫さんは昨日の夜の時と同じような表情になっていた。

「もしね…もし、私が…   」

薫さんのその先の言葉は僕に届く前に道路で鳴らされたクラクションによってかき消された。

再び二人の間を風が走り抜けた。しかし、その風は先程の柔らかい風ではなく、薫さんと僕との間にあるはっきりとは分からない何かを改めて実感させ、僕を切り裂くような風だった。

今回もお読みいただきありがとうございます


いつの間にか25話までやってきて、物語も最終話へ少しずつ進んでいます


ここまで読んでいただいた読者の方々には申し訳ないのですが、今改めて最初からの編集をしている状況です

今、現在は「プロローグ」と「第1話」の編集を終えました

少し内容も変わっているのでそちらの方もぜひ宜しくお願いします

それ以降の話も少しずつ編集を行っていき、自分自身の満足のいく『夏の薫り』を完成させたいと思います


今回はこのくらいで…

でわ、失礼します


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