表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏の薫り  作者: 剣一
22/26

第21話

遅くなってしまいましたが明けましておめでとうございます

今年も本作、それ以外の作品そして、作者共々宜しくお願いします


大変遅くなってしまい本当に申し訳ありません


良ければ読んでいって下さい



「ん…」

時計を見ると、だいたい9時を過ぎた辺りだった。

僕はベッドから起き上がり、1つ伸びをした。そして、昨日よりとても楽になった体で階下へと向かった。

「あら?起きて大丈夫なの?」

僕がリビングに顔を出すと、そこには母さんが新聞を読みながらゆっくりしていた。

「うん。それより母さん、仕事は?」

「休んだに決まってるでしょ。隼人、それより何か食べる?」

「あっ…うん。」

母さんは立ち上がるとそのままキッチンへと向かった。僕は近くの椅子にとりあえず腰を下ろした。


「出来たわよ。」

母さんが運んできた朝ご飯は少し柔らかめのご飯に豆腐の味噌汁だった。

「いただきます。」

「はい。」

「味噌汁、味大丈夫?」

「うん、美味しいよ。」

僕がそう言うと母さんは安心したように息を漏らし、笑顔で答えた。

「最近は隼人の方が料理上手だから隼人にそう言ってくれたなら母さんもまだまだ安心ね。」

そう言って母さんは廊下の方へと向かっていった。

「あっ洗い物は流しに置いといていいから、ゆっくり休みなさいよ。」

「は〜い。」


「ご馳走様でした、っと。」

僕は食器を流しに置き、水を注いでおいた。それからコップを取り出し、水を半分程入れてからそれを持って自分の部屋へと向かった。

まず昨日処方された錠剤を飲んでから携帯を開いた。

携帯を開くとメールが数件着ていた。

春華、海、薫さんそして、委員長からだった。僕は1人1人にメールを返信し、少し横になった。体調は楽になったとは言え、まだ完全と言う訳ではなく、だるさが少しだけ残っていた。


「隼人ー」

「んぁ…な、何?」

少し寝てしまっていた僕は母さんの言葉によって起こされた。

「お昼ご飯うどんでいい?」

「うん。」

「じゃあできたら呼ぶわね。」

母さんはそう言うと小気味よい音をたてて、1階に下りていった。

再び携帯を開くと海からメールが着ていた。

[ノート必要だろ?とりあえず今日渡しにだけ行くよ

ポストにでもいれとくから

お大事に]

僕は時計を確認してみた。まだ海達が来るまでには時間があるだろう。僕は軽く着替え、1階に下りていった。

母さんが作った煮込みうどんを食べ終えると、また部屋へと上がって行った。

僕はシャーペンを置いて、時計を確認した。

いつの間にか夕方と呼べる時間帯になっていた。僕の前の参考書は先程より何ページも進んでいた。

西日が部屋にある観葉植物を照らしていた。観葉植物からはすっと影が伸びていた。綺麗な橙色の影が伸びていた。

僕の部屋の中では言葉で表現できないいつもとは違った空気が僕自身を包み込んでいた。

参考書の問題をゆっくりと目で追う。先の見えない不安を無機質な文字が更に襲ってきた。

僕はゆっくりと息を吐いてから、珈琲を一口飲んだ。

自分で自分自身に言い聞かせる。

(慌てたって、嘆いたって変わらない…1つずつ1つずつ進んでいくんだ…)

カツッ

手で回していたシャーペンが僕の手から滑り落ち、机に当たって床に落ちていった。

「あっ」

僕がシャーペンを拾おうとしゃがんだ時、チャイムが鳴った。

「はーい。」

階下でガチャッというドアが開けられた音がした。

「あら、御堂君に春ちゃんじゃなーい。えと…この綺麗な女の子は?」

母さんの言葉が聞こえた。

「こんにちは、私、八城君と同じクラスの空河恋歌です。宜しくお願いします。それで今日の授業のノートを持って来たのですが…八城君の具合は大丈夫ですか?」

僕はそんな言葉を聞きながら、ゆっくりと1階に向かった。

「おはよう。」

僕がひょっこりと顔を出すと、海、春華、委員長の顔が変わった。母さんは僕が来たのを見ると、部屋の中へと戻って行った。

「隼人っ!」

「隼人、大丈夫なの!?」

「あっ八城君っ!」

「まぁかなり楽になったよ。わざわざありがとね。」

「じゃあ、これ。」

と、委員長が僕にノートを渡してくれた。

「ありがと。」

軽く雑談をして、少し雑談が止まった時に

「そろそろ帰るが、さっさと治せよー」

「あんまり長居するのも悪いし、帰るわね。」と海と春華が言ってきた。

「おう。ありがとね。」

僕がそう答えると、2人は外に出て行った。

「八城君…」

委員長がちょこちょこと小さな動作で手招きをした。

「ん?」

僕は少し委員長に耳を近付けた。その瞬間

「早く治してね。」

そんな言葉の後に僕の頬に何かが優しく触れた。

「え!?」

委員長は真っ赤に染めた顔で1回にっこりと笑うと、少し照れた笑いに表情を変化させながら小さく手を振って、帰って行った。

まだ先程の感触が残る頬を僕はそっとなぞってみた。



小さな温もり

柔らかい温もり

空の薫りを残し、君は帰って行った




今回もお読みいただき本当にありがとうございます

クリスマス用の作品を終え、ちょっと安心してたらあれよあれよと言う間に新年を迎えてしまい、それから急いで執筆作業を始めたので今頃投稿という形になってしまいました

これからは少しずつ執筆ペースを昔のものへと戻し、さらに少しでも多く作品を投稿出来るように頑張っていきたいと思います


今更でしたが、今回はどうでした?

ちょっと駆け足に見えるかもしれませんが、それは恋歌の少し焦った様子が描きたかったからです

一方、隼人はこれから先の事と薫の事で手一杯

今回の恋歌の行動により、隼人がどうなっていくか、作者自身もやはりまだ悩んでいる所ですw


では、次話でまた…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ