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「こっち向いて」


 ヒイラギの口元に付いた食べかすを取ってあげた所で、ようやく本題へ。これからどうするかを倉山が切り出した。ヒイラギがこうなった原因が分からなければ、いつ戻るかも計算が出来ない。後数分で戻るかもしれないし、下手をすれば二度と戻らないのかもしれないし。

 それまでは仕事の方は結局体調が戻らず入院した、とでも言えば誤魔化しは効くけれど。誰かが面倒を見ていなければならない。野放しには絶対に出来ないから。


「今日と明日なら面倒見られるよ。でも明後日は学校が……」


 ヒイラギは今自分が何処でお世話になるかを相談している事をすぐに分かったのか、私のお腹にくっついて離れようとしない。小さな力で、私の服をギュッと掴んでいた。そんなに倉山達のお世話になるのが嫌なのか。

 今日と明日は学校が休みだけど、明後日まで長引いたら誰がヒイラギを面倒見るとでも? 倉山だってサトルだって学校があるのは私と一緒。他に誰が見られるの?


「岩代、お前忘れていないか? ヒイラギがこうなった事を知る人物が他にもう一人いる事を」

「……? あっ!」


 そうだ。お兄ちゃんがいた。ヒイラギはお兄ちゃんにも懐いているって言うし、丁度良いじゃない。


「まあ、明後日まで長引いたら、の話だがな……」


 そう言う倉山の表情は曇っている。……何でなのかはすぐに分かった。もしそうなった時、ヒイラギを私から引き剥がしてお兄ちゃんの元に連れて行くのが大変って事なんだよね? 推測でしかないけれど、ヒイラギは倉山達には異様な警戒心を見せているからなあ……。

 そう、今後の事はすんなりと決まったかに見えた。けれど更なる難題が私を待っていたのだった。この後は適当に四人で過ごす事に決まり、そろそろ喫茶店を出ようかと言う時になった頃の事。


「あぁぁっ!!」

「どうした岩代!?」

「何があったの、お姫様?」

「…………!?」


 喫茶店に響き渡るくらいの大声を思わず出してしまった私が恥ずかしい。倉山とヒイラギは相当驚いた様子だけど、サトルだけは相変わらずの涼しい表情だ。そんな事はどうでも良い。私は今、重大な事に気付いてしまったのだ。


「お風呂どうしよう」

「……はい?」


 食事とかはどうにでもなる。だけどお風呂は? 一緒にお風呂に入っている時に戻ったりしたら? 恥ずかしいじゃない!


「お姫様、その心配なら問題ないよ。大体元に戻るのは朝か深夜だから」

「その根拠は一体何処から?」

「ないよ?」


 重要な事なんだからサラリとそんな事言わないでもらいたいんだけどな。

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