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 寝静まってから数時間後、変な音が聞こえたような気がしたけれどきっと空耳だろう。それよりも眠気が勝っていたから深く考える事もしなかった。なのに。朝になって……。


「おはよ……っ!?」


 私の隣で眠っていたのは小さなあのヒイラギではなく、元に戻ったヒイラギだった。倉山の言う通りご丁寧に服のサイズまで大きくなっているではないか。これは夢だよね?


「い、いやぁぁぁぁぁ!!」


 何が何だか分からなくなり、すっかり冴えた頭で最初にしたのは悲鳴を上げる事だった。その悲鳴に流石のヒイラギも起き、そして更にはお母さん達までをも起こしてしまった。お母さんにはゴキブリが出たと適当にごまかしたけれど、こちらの不機嫌気味のヒイラギの方には何て説明を……素直に説明しちゃって良いのかな? 変に隠すよりはまだ良いか。


「えーっとね……」


 倉山から聞いた話も含めて、今ヒイラギがこうなっている理由を伝えればヒイラギは真っ先にたった一言。


「記憶にない」


 と。それはとてもぶっきらぼうに。やっぱり大きい方には小さくなっていた方の記憶がなくて、小さくなっていた方には大きい方の記憶はないんだなあ……と納得する半面で、あれだけ元に戻って欲しいと願っておいて、いざ元に戻られてしまうと少し寂しいものがある。……って、あれ? 元に戻ったヒイラギが此処にいると言う事はだよ? まさか、まさか……私、無意識のうちに…………。


「いやぁぁぁぁぁ!!」

「どうした!?」


 …………口付けしちゃっていたんだ。と言うか、やっぱり口付けで元に戻る物だったんだ。



「そうか。元に戻ったか。それは良かった」


 学校終わり、また喫茶店に集合し、倉山とサトルに改めて元に戻った事をヒイラギ本人も交えて報告した。喫茶店の仕事に入ろうとしたヒイラギだったけれど、マスターから“明日からで良いよ”と言われ、今日は私達三人と一緒にお茶をする事になった。


「お姫様、キスのご感想は?」


 私の気持ちを考える事もなくサトルが聞いてくるものだから、今までのうっぷんを晴らすかのようにグーパンチをお見舞いしてやった。誰か一人くらい慌てると思いきや、倉山もヒイラギも自業自得だと思ったのか普段通り冷静なままだった。


「本当、不思議な出来事だったな……」

「ああ……覚えていないが。こうなった原因もよく分からん。心当たりがないからな」


 互いにコーヒーを飲んで落ち着いて話をしているけれど、此処まで冷静すぎるとちょっと割って入り難いかなあ……?


「まだしばらくは小さくなる事もあるだろうし、その時は岩代に……」


 前言撤回。冷静だと思った私が馬鹿だった。もうキスなんて絶対に……絶対に…………。どうしよう、絶対顔赤くなっているよ。


「アキラ、お姫様困惑しているよ? 何とかしなよ」

「え、俺そんなつもりで言ったんじゃ……」


 もう誰の顔もまともに見られない。そう思ったのも束の間。ヒイラギは俯く私の腕を強引に引っ張り、何をするかと思えば。


「~~~~~~!?」

「ヒイラギお前……」

「ヒイラギってさ、たまに変に天然みたいな所あるよね」


 何でなのだろう。納得がいかない。まさかのヒイラギからの口付けなんて。どうかしているってば!!


「これで少しはやりやすくなっただろう? 次にこうなった時は頼んだぞ」

「そういう問題じゃなぁーい!!」


 ある意味私の苦労生活は始まったばかりだ。小さな方も大きな方も本当に手間がかかるけれど、次に小さなヒイラギに会える日をひそかに楽しみにしている。

まだ書きたいことがあるので、続編があるかも……しれません。

でもとりあえずここでいったん一区切り。

またミニマムになってお会いしましょう(あれ?)

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