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「で、するのしないの?」
サトル……ヒイラギ抱えていなかったらグーで殴っている所だよ? 本当なら空やってやるけれど、確実にそれしかないって決まった訳じゃないし、それに……。も、もしもだよ? 本当にキスでどうにかなったとして、今此処でそれをやったら大惨事になりはしないかな……? それだけが怖いんだけど。
「…………?」
困惑する私の顔を見たのか、ヒイラギも同じように困惑しているように見える。余計な心配させちゃったかな? “大丈夫だよ”と頭を撫でてあげれば、困惑した顔はすぐに元に戻って行った。
「こんな人前じゃ出来ないし、それに……服が」
「ああ、服が裂ける心配ならするな。一応その服は特別製だ。大きさに合わせてサイズが変わる。何の目的で生産されているかは知らないが、あっちの世界じゃ普通に売っている」
へえ……そうなんだ。じゃああの着ぐるみとかも大きさに合わせてサイズが変わるってことなのかな。だとしたら……って、何の想像をしているの、私!?
「じゃあさ、目を閉じているからその間にぱぱっとやりなよ?」
いやそれでも問題なんだけどな、サトル。突然その場にもう一人現れたら大騒ぎだと思う。でも既にサトルは期待するような目でこちらを見ている。これでやらないとでも言ったら何か大変な事が起きそうな気がする。するしか、ないのかな?
「岩代、無理して今やる必要は絶対ないからな? サトルの言う事なんて気にするな」
「ううん、やるよ。やれば良いんでしょ!? ちゃんと目を閉じていなさいよ? サトルだけじゃなくて倉山も」
「あ、お姫様が自棄になっている」
「誰のせいで、だよ……」
さっさと目を閉じて貰った所で、見つめ合うようにしてヒイラギを座らせた所で。何をされるのか分からないヒイラギはきょとんと首を傾げていた。小さくてもいざキスをするとなると緊張するなあ……。
「じっとしていてね?」
覚悟を決め、そっとヒイラギの頬にキスをした。さあ、これで元の大きさに戻……らなかった。ヒイラギは相変わらず小さなままで、キスをされた事にとても嬉しそうにバタバタとしているだけだ。
「もう良いか?」
倉山は恐る恐る目を開け、サトルも続くように目を開けた。その変わらない光景に二人ともポカンとしている。サトルに至っては“本当にしたのかよ”と言わんばかりに疑いの目を向けてくるではないか。
「ちゃ、ちゃんとしたんだってば! 頬に」
「その照れ方と、ヒイラギのはしゃぎっぷりを見ればちゃんとやった事位分かるよ、岩代」
良かった……分かってくれて。でもキスして元に戻るっていうのは嘘だったみたいだよね? 現にしてもこのままなんだし。




