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あまりにも何度も何度も投げるから、ミニカーで遊ばせるのは危険と判断し、ヒイラギからミニカーを取り上げ、代わりに裏が何も書いていないチラシをいくつか持ってきて、それでお絵描きを楽しむように促すと、取り上げられた不機嫌はすぐに何処か行ったのか、またお絵描きに夢中になり出した。やはり描くのは自分以外には私とお兄ちゃん、倉山兄弟。決まって倉山兄弟は悪役に配置されている。
……んー、何かあの時に微妙に似ているような。まさかヒイラギの記憶そこまで戻ったりしているなんて事ないよね? だから倉山達を警戒している訳じゃないよね? だとしたらあの頃の私はヒイラギに敵意を向けていたから、今のヒイラギからすれば怯える対象になっている筈。気のせいだよね。うん。
「…………」
「え、私も描けって言うの?」
突然手を握って来たかと思えば、青い色鉛筆を差し出すヒイラギ。私の問い掛けに頷くと、会話用の紙に緑の字で“いっしょにおえかきしたほうがたのしいよ”と、“へんなかおをしているから、おえかきしてわらおう”と書いた。変な顔をしていたのかな? さっきからヒイラギに気を遣わせてばかりで、どっちが大人なんだか。……いや、生きている年数からすればヒイラギなんだけどさ。
「それじゃあ、一緒に描こうか。私ヒイラギ描こうかな」
ま、今のヒイラギの記憶が何処までの物かなんて今はどうでも良いか。今はただ何時戻るのかだけを考えていれば良い。楽しい時間はすぐに過ぎて行き、そろそろ眠る時間になった。私の部屋で本当なら寝るつもりだったけれど、ヒイラギがお兄ちゃんの写真の前から離れない。
無理にヒイラギを引っ張ろうとしてもなかなか動かない。正直和室で寝たくはない。お兄ちゃんには悪いけれど。だって今はいないから大丈夫だけれど、朝寝ている間にもしヒイラギが元に戻ってしまっていて、それを私の知らない間にお母さん達に見られでもしたら? 戻っていなくても目撃されてしまったら怪しまれる。一階だから尚更に危険性は高い。
「お兄ちゃん、今日だけ私の部屋に来て」
仏壇前の写真立てとヒイラギ、それからバッグを持って自室へ。ベッドは当たり前だけど一つしかないから、必然的にヒイラギと同じベッドで眠る事になる訳で。それもそれで恥ずかしいけれど、ヒイラギがお母さん達に見つかる危険性を考えたらまだマシだ。それにヒイラギは小さいから何か変な事をするなんて事もないだろう。




