1日目⑥
「ダンジョンは未知の領域であり、人の力の及ばぬ場所です。
それ故ダンジョンに挑む際には基本四職のいずれかのクラスを得てから望むのが好ましいでしょう。
貴方の向いている特性にもよりますが、まずは大まかに解説をすると――
前衛戦闘の花形、戦士【ファイター】
危険除去の達人、斥候【スカウト】
治癒防御の守人、僧侶【プリースト】
魔素使役の巧者、術師【ウイザード】
になります。
これらには貴方の個体レベルとは別となるクラス別修得レベルがあり、得られる上限が10になります。
これらを10まで上げる事で別の基本職を上げる事が可能となります」
「もしかしてその行きつく先が――」
「はい。
現在このテレビに映し出されている発生上級職の数々です。
戦士系に例えを上げれば――
戦士【ファイター】L10+僧侶【プリースト】L10
=聖騎士【パラディン】
戦士【ファイター】L10+術師【ウイザード】L10
=侍【サムライ】
戦士【ファイター】L10+斥候【スカウト】L10
=忍者【ニンジャ】
などになります。
この他に複数の上級職を修練した際に得られる事があるエキストラクラスなども含まれますね」
「何て言うか……本当にゲームみたいなんだな」
「理解しやすく、かつ受け入れやすさを基準にしていますので。
さらに個人別で取得していく、スキル編成などもクラスに組み込まれます。
よって同じ基本職でも――そのタイプは膨大な数になります」
「自分好みのスキルツリーを伸ばせるのはいいな。
けどこれって――
本当なら自分で試行錯誤の末に辿り着くものなんだろ?」
「肯定です。
本来なら秘匿されるべきものでしょう。
ですが――私がサポートに入る以上、その縛りは意味を為しません。
しかし現在のアドバイザーレベルでは開示できる情報に限界があるのもまた確かです」
「アイにも――レベルがあるのか?」
「はい。私も臥龍も共に今現在のレベルは1です。
私のレベルが上がればより貴方をサポートしやすくなる仕様です」
「了解した。早く己を鍛え上げる事にしよう。
何か基本職のお勧めはあるか?」
「通常であれば斥候【スカウト】になります。
これは戦闘力より先にダンジョン内に仕掛けられた罠【トラップ】や接敵を含む様々な危険を未然に防ぐ為、当然の選択なのですが――
臥龍には私がいます。
襲い来る敵や罠、宝箱の位置もダンジョン上層であれば全て網羅しています。
よって不要。勧めるべきは戦士【ファイター】ですね。
臥龍の体格は他の雄成体と比べてもかなり優れたものです。
私のサポートがあれば危なげなく序盤をこなす事が出来るでしょう」
「術師【ウイザード】とかにも興味があるんだけどな……せっかくなら魔法とかを使ってみたい」
「術師や僧侶など俗に言うマジックユーザー系は、壁役となる前衛がいてこそ成り立つクラスともいえます。自殺志願者ならともかく、初期クラスとしてお勧めはしません。
蓄えられる魔素量も低めなので継戦能力に疑問が生じます」
「いや、口にしてみただけだ。
後の楽しみに取っておくよ。
まずは戦士【ファイター】を極める」
「良い覚悟です。
では――いよいよ本当の意味でのチュートリアルの開始です。
これから臥龍は現実へと復帰し、扉の先に広がるダンジョンに挑んで貰います。
準備や心構えはよろしいでしょうか?
「ああ、頼む。」
「了承しました。
探索者【シーカー】臥龍臼汰、
ダンジョントライアルの開始です!」
高らかに告げられるアイの宣言。
この空間と来た時と同様――
俺の意識は瞬時に現実へと覚醒するのだった。
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