5日目③
「キリがないな、これは」
「同感っす」
次々と襲い来る狼共を、時に突き刺し――時に薙ぎ払いながら俺達はボヤく。
前述したが個々の強さはそれほどでない。
一匹一匹なら大きくて素早いジャイアントラットくらいのレベルだ。
だがその頻度が問題だった。
第一階層と違い5分もせずに襲い掛かって来るので戦闘を繰り返す事になる。
連戦が続けば疲労も溜まっていく。
そのせいで探索が思うように進まないのだ。
「MPに余裕がある内に今日は戻るか?」
「賛成っすね。
このままだといつか凡ミスしそうで怖いです」
スキル【恒常疲労回復】のお陰で体力的には問題ない。
しかし精神的な疲弊はまた別だ。
今のレベルからすれば雑魚敵とはいえ、気は抜けないので戦う度に消耗する。
そのせいで疲労困憊とまではいかないが鬱屈した気持ちになる。
「こういう時、広範囲殲滅魔法とかあればな」
「先輩、それは言わない約束です」
「臥龍の魔力値では、残念ながら広範囲魔法を選択しても意味がありません。
現状取得できる最大の範囲攻撃魔法【火球】でも狼達に重度の火傷を負わせるくらいが限界です。
いずれは死ぬかもしれませんが恐らく死に物狂いで襲い掛かってきます。
そうであれば魔力修正幅の少ない補助系に特化した方が良いかと」
「ちゃんと分かってるよ、アイ。
ただ――無い物ねだりしたくなっただけだ」
「焦らないことです。
焦りは焦燥を駆り立て隙を作ります。
いかなる強者もミスが重なれば命を落とすのです。
慎重に憶病なくらいが望ましい。
現に5日目を迎え、手慣れてきた探索者達が些細な事で亡くなっています」
「物騒な話だな。
どういうことだ?」
「先ほど臥龍と楓が懸念していた通りです。
レベルが上がりモンスターや罠に対する警戒が薄れる。
拡張していく能力に比例する肥大していく慢心。
そう言う時が一番危ないとも知らず。
通常なら何の苦労もなく対処できた問題に躓いてしまうのです。
その積み重ねの代償が命とも知らず」
「耳が痛いっすね。
戒めとして心に刻むっす」
「そういえば例のランキングを訊いてもいいか?
あと、生き残っている探索者人数についても」
「貴方達の暫定順位は世界ランク112位です。
これは楓の参入及び恩寵による効果が大きいです。
あとは臥龍の探索方針が極めて慎重で安全マージンを大目に取っているからですが、チート能力を別とすれば堅実な進捗といえます」
「そうか。
俺の、いや俺達のやり方は間違ってないって事か」
「肯定です」
「あの、アイさん。
その死んでしまった方とは、いったい……」
「はい。
探索者の資格を持つ者10000名中、ダンジョンに挑んだ者9188人。
そして今現在までに生き残って探索を続けている者6531人。
既に3分の1の方が鬼籍に入られています」
前回よりも増えている犠牲者に絶句する楓。
あまりにヘビーな内容に俺は深々と溜息を洩らすのだった。
キャラ画像をAIで作成してみました。
興味ある方はカクヨムやアルファポリス
内を作者名などで検索して見て下さい。
イケメン風な臥龍やロリ風味な楓、
まだ未登場の瑞希莉愛の姿が見れます。




