2日目⑤
「ここを抜ければボス部屋か……」
手にしたスコップを隙なく構えながら周囲を探るも――ついにここまで来た、という感慨からか言葉が漏れる。
第一階層最深部。
立ちはだかる敵を危なげ無く撃破し辿り着いたそこは、大きな洞穴。
アイの助言ではこの奥にこの階層のボスがいるらしい。
「間違いないか、アイ?」
「肯定です。
それと臥龍、先程も述べましたがボス部屋では私が干渉(助言)できません。
なので再度おさらいになりますが――
洞窟を模した第一階層最深部、通称ボス部屋を守るのはジャイアントシリーズの大トリである大蜥蜴【ジャイアントリザード】になります。
愚鈍そうな巨体に反して実際の動きはかなり俊敏なので注意を。
硬い外皮も脅威ですが、性格が獰猛で臆する事がありません。
爬虫類特有の痛覚の鈍さや伸びる舌による絡め取り捕縛も厄介です」
「ああ、ちゃんと理解してるよ。
あと、それに加えHPが1割を下回ったら脱皮して回復するんだろう?」
「その通りです。
なのでHP残量が2割を切った証である体色が赤くなったら、ラッシュをかけて下さい。臥龍に教えた裏技があります」
「ぶっつけ本番になるけどな」
「その為のスキルです」
「タイミングがシビアなんだけどな……
まあ、いい。やってみるさ」
嘯くように告げると、スコップを構え気負いなく洞穴に足を踏み入れる。
外からでは分からなかったが中は大広間になっていた。
多少の切った張ったをするのに支障はない。
難を言えば足場となる地面がデコボコと隆起して動き辛いが……
鋼板入りの安全靴なら問題はなさそうだ。
まあ、一番の問題はアレだろう。
おそらく第二階層へ繋がるであろう大扉の前で巨体を寝そべらせていた存在が、ヌラリ……とその巨躯を起こす。
体長は2メートル近く、尻尾を含めた全長は更にデカい。
デカいというのは脅威である。
攻撃における衝撃の重さ。
体格に比例する力と装甲。
全ておいて巨体故のアドバンテージを得るのが、非常に厄介だからだ。
何よりただの大きな蜥蜴なら良かったのだが……
俺はそいつの名を知っている。
ネット動画で見たそいつは獲物に噛み付き弱らせてから悠々と喰らっていた。
思い返す度に丸呑みされた子羊の悲鳴が耳にリフレインする。
恐竜の末裔とも言われるそいつの名は――
爬虫綱有鱗目、オオトカゲ科オオトカゲ属に分類される蜥蜴【リザード】。
別名、コモドドラゴンといった。




