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2日目④


「訊いてもいいか、アイ?」

「答えられる範疇であれば、何なりと」

「どうしてそんな……

 834人もの人が亡くなったんだ?」

「理由は多岐に渡ります。

 ですが一番の要因は、行き過ぎた戦意によるものです」

「行き過ぎた戦意?」

「はい。

 望むスキルや技能等を手に入れ、チュートリアルなどの救済措置を無視して無謀なダンジョントライアルを行った結果というべきか……

 脅威を脅威と認識できず、本来なら回避できた筈の理由で数多の方が命を散らしてしまっています。

 太刀打ちできるだけの恩寵は与えられてたのに。

 ある方の例を挙げましょう。

 その方が望んだのは【視たモノを死に至らしめる魔眼】でした」

「おお~いかにも強そうな願いだな」

「ええ。

 彼はその力を以って瞬く間にダンジョンを踏破。

 12階層に到達したところで――死にました」

「……なんでなんだ?」

「不意打ちです。

 死角である背後からの攻撃に対し、彼は対応できませんでした。

 彼の恩寵の影響対象は【視たモノ】に限られています。

 せめて【敵意を以って近付くモノ】などにしておけば良かったでしょう。

 気配を殺し待ち伏せしていたモンスターの一撃で彼は即死しました。

 その深度まで苦戦らしい苦戦もなく体捌きや防御手段を磨いていなかったことも理由といえば理由かもしれません。

 ただ――いずれにせよ、彼の生活は破綻していた恐れがあります」

「どういうことだ?」

「文字通り【視たモノを死に至らしめる魔眼】だからです。

 1日目を乗り越え帰還した彼を待ち受けるのは見た人全てを殺してしまう地獄。

 探索者に与えられる願いは時に恩寵ともなり呪いともなり得る。

 だからこそ、何を伴うのかをよく思案して願わなくてはなりません」


 アイの話を聞いた時、俺が思い浮かんだのはギリシャ神話に登場する黄金の呪いの逸話だ。触れるもの全てを黄金に変えてしまう力(黄金の触覚)を得たことで、食べ物や飲み物も黄金と化し、飢えと渇きで苦しむことになった悲劇的な結末。

 強大過ぎる【力】はそれに振り回されずコントロールできる理性などを以って、初めて自身の力足りえるのだろう。


「次に多かったのが、初っ端から本編ダンジョンに突撃してしまった方々です。

 チュートリアルダンジョンとの落差は凄まじく、恩寵があっても初見殺しの数々に抗えずに命を落とされてます。

 いずれにせよ生き残って安定した探索をしているのは保身や防御的な願いを得た方々になりますね。

 故に臥龍の願いは――まことに適切でした」

「最高のアドバイザーが万全にサポートしてくれるんだからな。

 確かに探索初心者には適切だったかもしれない。

 けど……ダンジョンを探索するというシチュエーションにどこか浮かれていたのは認める。

 よし、これからはもっと安全に気を配るよ」

「賢明な判断です。

 さあ、能力の向上や取得するスキルは決まりましたか?」

「おう。

 アイの勧めもあるし、これで第一階層のボスに挑んでみる」

「問題ないかと。

 あとは忠告した事を忘れずに」


 今迄の無機質さと違い、どこか温かみのあるアイの言葉。

 俺は得たSPをつぎ込みスキルを獲得すると、ポーションを購入して現実へ復帰するのだった。




ネーム:臥龍臼汰

レベル:10

クラス:戦士【ファイター】L10

HP :158

MP :33

SP :2

称 号:ダンジョンの寵愛を受けし者

身 長:185

体 重:72

ステ表:筋力B 体力D 魔力E 

    敏捷C 器用E 精神E  

装 備:スコップ

    ツナギ

    安全靴

所 持:回復ポーション×2

    解毒ポーション×1

スキル:獲得経験値向上(低) 

    身体強化(低)

    物理耐性(低)

    強撃(発動名:スマッシュ)

    恒常疲労回復

    武器攻撃力増強(低)

    空間収納(低)

加 護:助言者(思念体:アイ)




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