2日目①
「ふああ~
いつになく爽快な目覚めだったな」
昨日同様のスコップとツナギ。
そして新たに安全靴を装備し雑嚢を背負った俺はダンジョンを進む。
ゲートを抜けてからこっち、3回ほど戦闘があったが問題なく切り抜けている。
この調子なら今日は広範囲を探索できそうだ。
「当然です。
それを見越してこその、スキル取得だったのですから」
「この【恒常疲労回復】……
最初聞いた時は何で? と思ったけど――
滅茶苦茶良いスキルだったんだな。
昨日のを含め長距離移動や戦闘による疲労をほとんど感じないなんてさ」
「傷自体は【探索者】特有の回復能力で癒えます。
一晩ぐっすり休めば重傷以外は問題ありません。
むしろ、ダンジョン探索をする最大の弊害は疲労なのです。
少しずつ蓄積されていく疲労は、いつか致命的なミスを招く恐れがあります。
なので数値に出ないスタミナゲージとでも呼ぶべきものを恒常的に回復するこのスキルはダンジョントライアルに必須ともいうべきものです」
「なかなか気付かないものだしな」
「同じ効果を得ようとするなら僧侶【プリースト】第3階位法術【コンディショングリーン】の支援を受ける必要があります。
しかもこちらは効果期限付きです」
「うは、厳しいもんなんだな。
確かにスキルで補えるならそっちの方がいい。
それに子供みたいな爽快感を味わえるし」
「寝起きは悪い方なんですか?」
「ああ。仕事があるから頑張って起きるけど……
可能なら惰眠を貪りたい派だ。
けど、今回はアラームが鳴る前に気持ち良く起きれた。
このスキルの副次的効果ってやつだな」
「かもしれませんね。
これから臥龍は良くも悪くも人を越えていくのでしょう――
さて、次の敵です。
前方50メートル先。
奇襲しようと天井付近に身を潜めて獲物が通り掛かるのを窺っています。
大鼠【ジャイアントラット】と並ぶこの階層モンスター、大蝙蝠【ジャイアントバット】です。
鋭い爪牙や放たれる【超音波】による眩暈に気をつけて下さい」
「了解!」
気合を入れてアイに返答すると俺は駆け出す。
相手の出方を待つカウンター狙いの後の先より、先の先の方が性に合う。
こうして2日目初邂逅となるモンスターこと大蝙蝠【ジャイアントバット】との戦いの火蓋が切られるのだった。




