プロローグ①:大草原フリーデン
※この物語は、本編より数十年前の出来事で、人間と魔族が争った時代の記録です。
雲一つない青空の下に黄緑色の草原が広がっている。その草原に風が吹き抜け、草原全体が波を打つように涼やかに揺れた。
ここは『大草原フリーデン』
大草原の東側には小高い丘がある。この丘は『白銀の丘』と呼ばれている。
同じように西側にも小高い丘がある。こちらの丘は『玖月の丘』と呼ばれている。
そして、この2つの丘は見つめ合うように……と言うよりも、睨み合うようにして向かい合っているように見える。
白銀の丘には石碑が1つある。その石碑は角が欠け、一見して古そうに見えるのだが、隅々まで手入れが行き届いており、常に綺麗にされている。
さらに色とりどりの花も添えられている。ちなみに、この石碑の花が枯れていたことは一度もない。
何やらその石碑には文字が刻まれているようだ
『白銀の英雄エルドット・シールドと彼と共に戦った戦士達の眠る地』
と刻印されている。
第一次人魔大戦
今から数十年前、この地は人間と魔族が戦争をしていた場所だった。そして、その最終決戦の地となった場所であったのだ。
今でこそ『大草原フリーデン』と呼ばれ、『世界が穏やかになった象徴の地』とされているが、決戦の最中は人間の血と魔族の血が入り混じる荒野であった。
時を遡り、草原は荒野に変わる。
【次回】プロローグ②:最終決戦へ
人間と魔族の存亡をかけた戦いが展開します。