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友達との勘違い

私は、中学に入学した。

入った中学には、小学校にいた時によく遊んでくれた、3年の太田先輩がいた。

私は、よく考えると、先輩に、ありがとうがあまり言っていなかった。

なので、私は、先輩にお礼を言うことにした。

まず、部活動説明会で、先輩を見つける。

なんと、先輩は、陸上部の、部長だった。

先輩は、昔から、背が高くて、足も速かったので、納得した。

次に、先輩に話しかけるタイミングを探る。

私は、先輩を見つけると、話しかけられるか考えたが、友達が周りにいたり、先輩が急いでたりと、なかなか話しかけられなかった。

私は、陸上の体験入部に行って、帰りにお礼を言おうと思ったが、体力がなさすぎるので、それは無理があった。

そして、一か月がたって、体験入部が終わり、みんなが入部届を出す時期になった。

私は、帰宅部になろうとしたが、どこかしらの部活に入れば、先輩に会えるかもしれないと、思って、美術部にした。

理由は、簡単。

動きたくない、友達と話したい、走るのが嫌い。

これから考えると、まず、運動部は無理で、文芸部は、パソコン部と、美術部で迷ったが、美術部に入った。

それから、部活の日が来た。

だが、今日は、あいにくの雨。

と、言いたいところだが、私は、雨のほうが、日焼けも、あまりしないしテンションも上がるから好きだ。

今日は、陸上部の友達が、雨なのに走るとかさいやく。

と言っていたので、陸上部があるのは確かだ。

そう考えながら、今日の部活は、終わった。

美術部は、5時で終わり、陸上は、6時30分に終わる。

今日は、お礼は、言えないか。

そう思って、活動場所の美術室から出ようとすると、太田先輩が急に廊下に表れて、とまれと手でジェスチャーしてきた。

私は、驚いて、友達と立ち止まった。

すると、陸上部の友達らが、走ってきた。

私は、走ってきた友達に、「頑張ってね」と言って、昇降口から出た。

美術部の友達は、みんな、帰路が反対方向だからそこで別れて、一人で家に帰った。

次の日、私が、移動教室のために、階段で上がっていると、先輩とぶつかりそうになって、軽く会釈をして、去った。

なぜ、あそこで、話しかけなかったのかは、自分でも、不思議でたまらない。

昼休みになって、陸上部の友達に話しかけられた。

「ねぇ、私の、陸上部の部長が、『小春と知り合いののか。』って、聞いてきたんだよね。もしかして、部長、小春に興味があるんじゃない。一回あってみたら?」

「いや、それ言うんだったら、私も会いたいよ。」

「え、好きなの。」

「いや、そういうわけじゃ…」

キーンコーン

昼休み終了のチャイムが鳴って、同じクラスだったが、次の授業は、小テストのため、早めに別れた。

放課後になって、陸上部の友達に、また話しかけられた。

今日は、陸上部は、ないようで、一緒に帰ることになった。

そして、また先輩の話になった。

それと、同じくらいに、ちょうど、先輩が来て、陸上部の友達を、呼び止めた。

二人で、何やら話した後、陸上部の友達が、「先に、昇降口に行ってるね。」と、走って行ってしまった。

陸上部の友達は、さすが陸上部と思うほど足が速かった。

残された、私と先輩は、二人が、喋らないことで、重い空気が流れていた。

「林、久しぶりだな。」

その空気を破るように、先輩が話し出した。

「は、はい。そうですね。」

また、沈黙が続いた。

私は、すこし、大きな声で、お礼を言った。

「1年生の時は、よく遊んでくれてありがとうございました。あの時は、少しコミュ障で、友達が全然いなかったんですけど、先輩と遊んで、勇気がついって、クラスの友達によく話せて、友達ができました。本当に、ありがとうございました。」

「あぁ。」

「私の言いたいことは、これで、全部なのでそれでは。」

私は、昇降口に、向かって、歩き出した。

先輩は、そのあとに来た友達と笑いながら歩いていた。

よし、お礼は、ちゃんと言えた。

任務完了。

私は、やっと、お礼が言えて、少し、笑いながら陸上部の友達のもとへ向かった。

陸上部の友達と会うと、笑いながら走ってきた。

「ねぇ、OKした?それとも、された?」

「え、何のこと。」

私には、最初意味が分からなかった。

「だから、告白だよ。」

「いや、告白所ないよ。小学校が同じで、よく遊んでもらってたから、お礼言っただけだし。先輩は、友達と、笑いながら歩いてたから、違うと思うよ。」

「え、そうだったの。」

・・・

陸上部の友達は、告白だと思っていたらしく、びっくりした顔をしている。

「・・・そうだったのか。先輩に、小春のこと聞かれたから、告白かなと、思ったよ。なーんだ、勘違いなんだ。」

「そうだよ。私みたいな顔が中の下ぐらいの女、あの先輩好きじゃなさそうだし。」

そして、二人で、笑いながら、帰路についた。

次の日から、私は、先輩に、お礼も言えて、すっきりした気分で、学校に行けた。

その日は、心のもやが、すーっと、晴れた気がした。

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