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41・「第二の聖女になってくれ」と言われた元聖女は、彼の唯一無二になる

あとがきに、大切なお知らせがあります。

最後まで読んでくださると嬉しいです。

「ウィリアム……っ! どうしたんですか?」


 久しぶりに見た彼の顔。

 一瞬嬉しさで顔が綻びそうになるのを我慢して、私はいつもの調子で話しかけます。


「うむ……」


 俯き、言いにくそうにするウィリアム。

 ……なんだか、セレスティアに向かう時とよく似ていますね。


 とりあえず、店内へ招こうとすると、


「ここでいい」


 そんな私を、ウィリアムは制します。

 ますます、混乱する私。


「……? なんでしょうか──あっ、もしかして、“穢れ”のアイテムを持ってきてくれたんですか?」


 王城の専属解呪師にならない代わりに、“穢れ”のアイテムが持ち込まれる。

 “穢れ”を払えば、商品としてお店に並べていい。そういう契約でした。


 ウィリアムは右手に小箱のようなものを持っています。

 それが、今回の“穢れ”のアイテム……?


「いや、そうでもないんだ」


 しかし、ウィリアムは首を横に振ります。


「だったら、一体──っ!?」


 いきなり、ウィリアムはその場で片膝を突きました。


 え? え?

 なんで?


 戸惑っていると、ウィリアムは両手を上げ、小箱の中身を見せます。

 そこには──キレイな指輪が。




「アルマ、俺と婚約してほしい」




 …………。


 へ?


 思いもしていなかった告白に、私は一瞬思考が停止してしまいます。


「ウィ、ウィリアム!? 冗談はいけませんよ。本気にしちゃい……」

「冗談じゃないんだ!」


 勢いよく言い放つウィリアム。


「ずっと……君を見て、胸が高鳴る自分がいた。最初はどうしてだろうと思っていた。だが、君に名前を呼ばれた時──君に触れている時──この胸の高鳴りは治るどころか、酷くなった!」

「で、でも……」

「確信したのは先日、君と共にセレスティアに向かった時だ」


 真っ直ぐ言葉を届かせるウィリアム。


「今まで、俺は一人で生きていくと思っていた。しかし……違った。人は、誰かの助けがなければ生きていけない。そして、俺の隣を歩く女性は君であってほしい。君と一緒なら、俺はどこにでも行ける気がするから」


 とウィリアムは私を見つめます。

 その真っ直ぐで透き通った目を見て、私は彼が本気さを感じます。


「…………」


 すぐには、返事が出来ませんでした。



 だって、それは夢のような出来事だったから──。



 ウィリアムからの指輪を受け取って、私も好きと伝えたい。

 ですが、躊躇してしまいます。


「わ、私は平民です。王子殿下と結婚するには、さすがに身分が違いすぎるのでは……」

「無論、俺とアルマが結ばれることを反対する者は多いだろう。だが、どれだけかかっても、必ず全員を説き伏せてみせる」

「ですが、私はそんなに可愛くないし……」

「可愛くない? 笑わせるな。君以上に可愛くて、美しい女性はいない。もっと自分に自信を持て」


 僅かな迷いも混ざらずに、即答するウィリアム。


「……ふう」


 一息吐きます。


 彼はこんなにも、本気で私に言ってくれます。

 だから、私も正直になりましょう。

 ごちゃごちゃと言いましたが、私が彼との婚約を躊躇う理由は一つだけ。


「……私はかつて、サディアスに『第二の聖女になってくれ』と言われました」


 淡い恋心を打ち砕かれた時。

 奈落の底に突き落とされたような、深い失望に駆られました。

 

 だって二番目の女は、決して一番になれないのですから。


「だから……今はよくても、ウィリアムがいつか私に失望するんじゃないか。あなたにとって、私は二番目の女でしかないかと。すっごく怖いんです」

「二番目の女? 違う」


 ウィリアムは私から視線を逸らさず。




「第二の聖女ではない。君は俺の唯一無二だ」




「──っ!」


 それはまるで、私の中の“穢れ”が払われたかのよう。

 ずっと暗雲がかかっていた心を、ウィリアムは浄化してくれたのです。


「あなたにとって……私は唯一無二……」


 一番言ってほしかった言葉──。


 ここまで言われて、自分の気持ちに素直にならないのは間違っています。


 私は覚悟を決め、


「──はい」


 ウィリアムと手を重ねます。


「……あなたからの婚約の誘い、お受けさせていただきます。私も、あなたのことが好きでした」

「そうか……っ!」


 パッと表情を明るくするウィリアム。

 彼はそのまま、私を強く抱きしめました。




 ──第二の聖女になってくれ。


 その一言がきっかけで、私は新たな人生を歩むことを決めました。

 あの時は強がっていたけれど、不安で胸がいっぱいでした。

 

 ですが、今──私はこの上なく幸せ。


 人は誰でも、自分の中に一番を持っています。

 だから、私はこれからもウィリアムの一番であり続けたい──彼の温かさを感じながら、私は強くそう思うのでした。

【作者からのお願い】


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

この作品の本編は完結となります。

(続きの話や番外編を書きたくなった場合は、続けるかもです)


もし、ここまで読んでいただき、少しでも、

「面白かった!」

「ここまでおつかれさま!」

「次も楽しみにしてるよ!」


と思っていただけましたら、

下記の【☆☆☆☆☆】を、

【★★★★★】にしてポイントを入れてくださると嬉しいです!


★の数は皆さんの判断ですが、

★5だと執筆に対するモチベがめちゃくちゃ上がって、作者への最高の応援になります!

なにとぞ、ご協力お願いします!

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― 新着の感想 ―
鬱沢色素先生 更新を楽しみに待つ日常が終わった寂しさもありますかが、完結おめでとうございます!そしてありがとうございました!
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