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【第一章完】凸込笑美はツッコまざるを得ない……!  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第1笑

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31/50

8本目(2)マウント合戦の末

「フッ、こんなもんデスカ?」

 因島が前に進み出る。

「次は拙者が参りまひゅ……!」

「……まひゅ?」

 オースティンたちが首を傾げる。

「……」

 因島は部室のすみっこに体育座りしてしまう。

「ああっ、因島くんの心が折れた!」

「いや、ちょっと噛んだくらいで折れんなや! ガラスのハートか!」

 頭を抱える司の横で笑美が声を上げる。

「………」

 因島は立ち上がり、オースティンたちの前に戻ってくる。司が頷く。

「復帰した!」

「手のかかるやっちゃな……」

 笑美が頭を軽く抑える。

「拙者はお主たちに勝てるでござる!」

「ふふっ、自信満々のところ申しわけありませんが、それは無理デース……」

「笑っていられるのも今の内でござる! 拙者は大人気ゲーム『スマ〇ラ』で国内優勝したことがあるでござる!」

「む……」

 オースティンは黙り込む。

「はははっ、驚いて声も出ないようでござるな……」

「……世界」

「え?」

 因島が首を傾げる。オースティンが話を続ける。

「『スマ〇シュ』……こちらで言う『ス〇ブラ』の世界大会で勝ったことがありマース」

「なっ⁉」

「日本と世界……比べるまでもないな」

「しかもメイドインジャパンのゲームで負けてるのが恥ずかしいネ~」

「ぐふっ⁉」

 エタンとマリサから追い打ちをかけられ、因島は派手に倒れ込む。

「い、因島くん!」

「なにを格闘ゲームで負けたみたいなモーションしとんねん……」

 心配そうに見つめる司の隣で笑美が冷めた視線を送る。

「次は俺が行くぜ!」

「倉橋くん!」

 倉橋が勢いよく前に進み出る。

「これは……少しは楽しめそうデース……」

 オースティンが笑みを浮かべる。

「俺はチャラ男!」

「? チャラオ?」

 オースティンたちが揃って首を傾げる。

「要はムードメーカーってことだ!」

「いまいち分からんナ……」

 エタンが腕を組む。

「盛り上げ役ってことだよ、どんなショボいパーティーだって、俺の手にかかりゃあ一大ムーブメントに早変わりさ!」

「あ~そういうことデスカ……うん?」

前に進み出ようとしたオースティンをマリサが制する。

「オースティンが出るまでもないネ……」

「おや、かわいい女の子だね~俺と遊ばない~?」

「……これくらい」

「ん?」

 マリサが端末に表示された画面を倉橋に突きつける。

「昨年行われたアブエラ……おばあちゃんの誕生日パーティーです……親戚・知人、ざっと千人は集まったネ……」

「せ、千人⁉」

「そして、このパーティーを仕切ったのは孫のアタシ……」

「ごはっ!」

 倉橋が奇声を発しながら後方に吹っ飛ぶ。マリサが退屈そうに呟く。

「ふん、おとといきやがれってやつですネ~」

「倉橋くんもやられた!」

「どこに吹っ飛ぶタイミングあったんや……」

 声を上げる司の横で笑美が冷めた口調で呟く。

「まったく、仕方ありませんわね……」

「優美お嬢様……」

「小豆、なにも心配はいりません……」

「はあ……」

 前に進み出る優美を小豆は心配そうに見つめる。

「これはまた……セレブのご登場デース」

「……貴女」

 優美はマリサに話しかける。

「え? アタシ?」

「さきほど、千名のホームパーティーを開いたとおっしゃっていましたわね?」

「あ、ああ……」

「わたくしの家では最低でも一万人規模のパーティーしか開いたことがありませんわ!」

「! ……」

「ふふっ、驚いて声も出ないかしら?」

「それは……大したものダナ」

「そうでしょう?」

 エタンの言葉に優美は頷く。オースティンが口を開く。

「……ただそれは貴女の手柄というわけではないデース」

「‼」

「そう、貴女の親の力や威光によるものダ」

「ぐっ……」

「親の七光りを誇るとは……セレブのわりに大した宝石は持ってないんだネ~」

「くっ!」

 オースティンとエタンの正論とマリサの煽りに対して優美はあっけなく屈し、小豆の下に駆け寄り、小豆の胸に顔を埋める。

「ゆ、優美お嬢様……」

「くぅーん……」

「厳島さんが子犬のような声を!」

「一番あっさり負けたんちゃうか?」

 驚く司の横で笑美は首を傾げる。

「ハハハ!」

「!」

 オースティンの高らかな笑い声に笑美はビクッとする。

「やはり日本は低レベルデース……さっさと国に帰るとしましょう……」

「待てや」

「! オウ、そう言えばまだあなたたちが残っていました……何を見せてくれマスカ?」

「……お笑いや」

「ぶっ! お、お笑い⁉ 日本のお笑いなど低レベルデース!」

「たかが知れているナ……」

「世界レベルじゃないよネ~」

「黙らっしゃい……」

「⁉」

「アンタらのその価値観をぶっ壊してやるで……ウチと一緒にマンザイしようや!」

 笑美が高らかに宣言する。

お読み頂いてありがとうございます。

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