一話
「これより一限目の授業を始める。内容は、魔法についてだ。一年生の魔法学は私が担当する。ルーカス・コント・エルシャスだ。よろしく。」
エルシャス先生はゲームでも出てきた。プレイヤーのお助けキャラとして。甘栗色で癖っ毛の髪の毛にグレーの瞳、モノクルをつけている。なんでも宮殿魔道士らしい。
にしても魔法学か〜、楽しみだな〜。どんな魔法を習うんだろう。高位貴族の子息・令嬢は家庭教師を雇って先に習ったりもしてるらしいけど・・・。私は習ったことないんだよな・・・。楽しみ。
「早速だが問題だ。魔法にはいくつかの種類がある。どんなものがある?そうだな・・・カルタート君、わかるかい?」
「一般的な四属性に加え聖魔法と闇魔法、召喚魔法、言霊術、祈願魔法、精霊魔法、呪術、魔法陣を描く筆記魔法があります。」
「正解だ。一年生では六属性の魔法と筆記魔法を学習する。今日はまず聖魔法についてやる。聖魔法の特徴は?誰かわかるかい?」
スカーレット様の手がスッと上がった。すごい、周りの人たちは全然わからなそうなのに。
「聖魔法は四属性と違い適性がないと使用できません。適性があるひとは一千人に一人より下回ると言われています。また、魔族は絶対に聖魔法を使うことはできません。聖魔法の適性があるひとは闇魔法の適性はありません。」
「完璧だよ。さて、今カルタート君が言ったように聖魔法は適性がないと扱えない。だから授業では実践することはないよ。この属性については座学のみだ。」
「先生は聖魔法の適性があると伺いました。それを見ることはできないのですか?」
スカーレット様がそう聞くと先生は目を瞬かせた。
「見たいのかい?他の属性と比べ見てもあまり面白味がないと思うが。」
「ご冗談を。面白みがない?そんなはずないでしょう。聖魔法は怪我の治癒能力があると聞きました。四属性の魔法は他の魔法で再現できますが聖魔法を再現できるのはさらに使える人が少ない言霊術のみ。私的にはものすごく興味があります。」
あ、スカーレット様勢いがついてる。殿下がすごいため息ついてる。色々大変だったんだな、勢いがついたスカーレット様。
先生はまた目を瞬かせるとにこりと笑った。
「君は本当に魔法が好きなんだね。そうだな、他に見たいひとはいる?いるなら見せるけど。」
クラスの半分くらいの人数の手が上がった。それを見た先生は一度頷いてこう言った。
「わかった、じゃあ今から使うから良く見ててね。」
あれ?怪我の治癒って誰の?誰も怪我してないみたいなのに。
疑問に思っていると先生は小さく何かをつぶやいた。その途端先生の手に一本の赤い線が入った。魔法で、切ったんだ。
「それじゃ、使うよ。」
先生がそう言うと、先生の手を白い光が包んだ。そして少しずつ赤い線が短くなっていき、消えた。治った、みたい。すごい、あれを私も使えるようになれるのかな。適性はあるけどまだあんなに早くは治せない。練習しなくちゃ。
スカーレット様は目をキラキラさせていた。声を出さずにすごい、と言っている。本当に魔法が好きなんだな。
「はい、おしまい。じゃあ、授業に戻るよ。」
「ありがとうございました、先生。とてもすごかったです。」
「どういたしまして。じゃあみんな、気を切り替えて、教科書の17ページを開いて。」
なんだか、先生が照れているように見えた。スカーレット様の素直な賛辞に照れちゃったのかな。
そう思いながら私は教科書を見た。
うわ・・・、文字が多い。読んでもわかる気がしない。どうしよう、確か来月にはテストなのに・・・。
私は盛大にため息をついた。
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