九話
現れた敵は『憤怒せし者』。
真っ赤に燃え盛る狼だった。
その大きさは3メートルほど。
その足で踏まれたら、プチッと潰れそうなほどの巨体。
「『憤怒せし者』か。都合がいい。」
「いけますか。先生。」
「七大悪魔の中で私が最も相手にしやすい敵だと思うよ。」
ポプリン君はにこりと笑ってこちらを見た。
「じゃあ、こっちは先生にお任せしますね。」
「ま・・・まさか、君・・・」
私一人にやらせる気か?
いけなくはない・・・とは、思うが・・・。
「私はあちらの方々の回復をしなくてはなので。お願いします。」
私はため息をついた。
「わかった。私はあれを倒すことだけを考える。」
「えぇ。」
私は改めて『サタン』を見た。
燃え盛る炎のような尻尾。
黒く鋭い大きな爪。
サタンの恐ろしいところはその攻撃力にある。
物理、魔法。どちらの攻撃力も高く、一撃一撃が重いのに動きは速い。
攻撃特化のアタッカー。
その攻撃を喰らえば一瞬で命を刈り取られる。
が・・・
「この身に当たらなければ、どうということはない。」
サタンが天空へと吼えた。
その声は辺りを揺らす。
音の衝撃で木々は倒れ、立っているのも難しい。
それほどに大きな遠吠えだった。
赤く燃える狼はその爪を一薙した。
爪には炎の属性が付与されており、影響を受けた近くの大地は真っ赤になって溶けた。
サタンはまた、一吼えした。
足元から魔力の塊が槍のように突き出てくる。
私は飛んで回避した。
そのまま空中で詠唱を唱える。
『聖なる光よ。全ての悪を拒絶せよ。光なくば影もない。汝が光で闇夜を薙ぎ払え。暗黒破壊』
悪魔ならば、これが直撃すれば命はないだろう。
この悪魔は攻撃特化。
防御してダメージを減らすことも、
回避して喰らわないことも、
攻撃を吸収することも、
こいつにはできない。
私にとって一番戦いやすい悪魔。
戦いは一瞬で終わった。
私は治癒魔法をかけているポプラン君の元へ向かった。
「そっちはどうだい?」
「あ、先生。早かったですね。こっちは順調ですよ。怪我も軽かったみたいですし。」
話しているうちに、教師の一人が目を覚ました。
隣のクラスを担当しているやつだった。
確か・・・なんとか・・・
・・・ルドなんとかだったはずだ。
「あ・・・?生きて・・・?」
そいつはばっと飛び起きた。
「っ!すぐにエルシャスを呼ばないと・・・って、あれ?いる?」
「目が覚めたようだな。とっとと起き上がって働いてもらうぞ。」
それを聞いたそいつは苦笑いをした。
「ひどくない?僕怪我人なんだけど?」
「あ、治ってますから、安心してください。」
ルドなんとかはポカンとした。
「え・・・?」
「そういうことだ。にしても、お前も教師なんだから一定の戦闘力はあるだろう?なぜあんなに怪我してたんだ?」
「あぁ・・・それは・・・」
ルドなんとかはポツポツと話し始めた。
私たちは、驚きの事実を知ることとなった。




