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私とあなた  〜ヒロインと悪役令嬢?の物語〜  作者: 月乃夜 星竜
第一章 出会い
1/10

プロローグ

読み始めてくださりありがとうございます。

ようやくこの日が来た。

私は転生者だ。元々は日本で普通に生活していた。でも事故に遭いこの乙女ゲーム『聖剣と魔剣の伝説』のヒロイン『アーシャ・ヴィ・ポプリン』に転生した。

いよいよ今日はゲームが始まる日、王都学園入学の日だ。

ヒロインに転生はしたが別に攻略対象たちにチヤホヤされたい訳じゃない。ただ幸せになりたいのだ。攻略対象の誰か一人と仲良くできればなと思ってはいる。攻略対象は皆身分・能力が高い。幸せへの最短ルートだろう。

そう思って私は一番最初のイベントがある場所に来た。ここでは王太子『キース・ロ・エルディアン』に会えるはず・・・なのだが———


「ここで何をしてるんだい?」


後ろを振り返ると王太子殿下がいた。サラサラの金髪に空色の瞳。顔はいいし頭もいいし能力も高いハイスペックな人間だ。


「君は・・・新入生かな?」

「は、はい。アーシャ・ヴィ・ポプリンと申します。」

「初めまして、僕はキース・ロ・エルディアン。その・・・会場がわからないんだけど知ってる?」

「あ、はい。あちらの方に——」


少し緊張しながら質問に答えていると後ろでガサガサと音が鳴った。


「ここで何をしているの?」


女の人にしては低い声。私はこの声を知っている。これは——

悪役令嬢『スカーレット・デュ・カルタート』の声だ。


「もうすぐ入学式が始まりますよ。」

「あ、アレク・・・じゃなくてスカーレット嬢。」


そこにいたのはゲームとは少し違う見た目のスカーレット様だった。ゲームと同じでつり目気味の紫の瞳と長い綺麗な白髪。ゲームではよくハーフアップにしていたが彼女は後ろで一つにまとめていた。それに片目を前髪で隠している。

彼女は目を細めこちらを見てきた。


「——まさか迷子になったのですか?ご案内いたしましょうか、王太子殿下。」

「あぁ、頼めるか?」

「えぇもちろん。こちらです。」


私と殿下は彼女についていく形で会場に向かった。

あれ?ゲームじゃそれとなく嫌味を言われたのに。おかしいな。


「つきました。殿下、これからは迷子にならないように気をつけてくださいね?」

「あ、あぁ。気をつけるよ。」


私の席は後ろの方のようだ。殿下は確かもっと前の方でスカーレット様の隣。


「じゃあね、アーシャ嬢。お互いいい学園生活を送ろうね。」


そう言って彼は前のほうへ行った。

は〜、これから入学式か。苦手なんだよな、座って先生たちの長い話聞くの。寝ないでいられるかな・・・。

殿下の方を見ると、スカーレット様が前を向いたまま彼に顔を寄せているのが見えた。内緒話をしているようだ。

あんなに二人って仲よかったっけ?

疑問に思っていると先生が舞台上に出てきた。

すごく眠くなる・・・じゃなくてすごく大事な演説の始まりだ。

私は先生たちの話を右から左に流して聞いていた。


「これで入学式を終了する。良い学園生活を送ってくれたまえ。」


ようやく入学式が終わった。

な、長かった〜〜。

次はクラス発表だ。表を見に行かなきゃ。


「えっと・・・私のクラスは・・・」

「アーシャ嬢、同じクラスだね。よろしく。」

「え?あ、ほんとだ。よろしくお願いします、殿下。」

「殿下、私は先に教室に行っています。ごゆっくり。」


そう言ってスカーレット様は行ってしまった。

なんか、ゲームの悪役令嬢と全然違う。変だな。

でもまぁ、ここはもう現実なんだから、そんなこともあるよね。


「アーシャ嬢、教室に行こっか。」


私は殿下と一緒に教室に行った。教室に入ると女の子たちの視線が突き刺さってきた。

そりゃそうだよね。殿下と来たんだから。


「そういえば殿下、そちらの方は?」


スカーレット様が話しかけてきた。


「あぁ、彼女はアーシャ嬢。」

「お初にお目にかかります。アーシャ・ヴィ・ポプリンと申します。」

「初めまして。ここは学園だからそんなに畏まらなくて構いません。ポプリン嬢というと、あなたが魔法の才能を買われて入学した方ですか?」

「え、えぇ。」


そう答えるとスカーレット様は急に早口になって喋り出した。


「聖魔法が使えるとお聞きしました、今度見せていただいても?聖魔法に興味がありまして。よろしければ見せていただきたいのですが。」

「か、かまいません。」

「スカーレット嬢、落ち着いて。怖がっているだろう。すまない、アーシャ嬢、彼女は魔法に関してになると勢いがつくんだ。普段はおとなしいんだがな。」

「!ポプリン嬢、失礼いたしました。」

「い、いえ。魔法の件ですが構いませんよ。それからどうぞアーシャとお呼びください。」

「ありがとうございます、アーシャ嬢。」


そう言って彼女はにこりと微笑んだ。

すごく可愛い。ゲームでは見たことない光景だ。


「あぁ、もうすぐ先生が来そうですね。席に戻りましょう。」

「は、はい。」


私は席についた。

こうして私のゲームとは少し・・・だいぶ違う生活が始まった。

読んでくださりありがとうございます!

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