序章 流れ星
───星の降る、夜だった。
少女は父に連れられ、星のよく見える高台にいた。
「おとうさん、あれなぁに?」
「あれは流星群。“流れ星”と呼ばれる星がすごく降る現象のことさ。」
「ながれぼし?りゅーせいぐん?」
「…まだ3歳には難しいか。大丈夫、大きくなればわかるようになる。」
「…?でも…きれいだね。おとうさん。」
「……綺麗、か。」
「…??どうしたの?」
少女の父は難しそうな顔をしてから少女の頭に手を置く。
「なんでもないよ。それより、何かお願い事はないかい?」
「おねがい?」
「“流れ星に願うと願い事が叶う”という話があるんだ。」
「…ん~…」
少女は少し悩んで顔を上げた。
「いつか───」
───ピピピピピピ
「う…ん。」
うるさく鳴る目覚ましを止める。その目覚ましは5時を指していた。
「…懐かしい夢を見た気がする。」
声の主が体を起こす───白い髪の少女。寝起きだからか少し不機嫌そうに見える。
「…お父さんとの記憶、か…うん。」
少女は立ち上がり、伸びをする。
「…立ち止まってちゃいられない、よね。そろそろ次の星に着かないと。」
着替えて部屋を出る───少女の名は、“スティラ”。年齢は、17。
彼女は───星を渡り、星々を旅する者。目的をもって、宇宙相を翔ける者。
───それらを人は、“流れ星”と呼ぶ。