最終章 終焉 第93話 人類計画⑤
アザトース配下の者たちの中で、唯一ナイアルラトホテップだけが封印もされず流刑にもならなかったのだが、他の者については様々な処置が為されていた。
クトゥルーは地球の海底都市ルルイエで眠らされている。封印ではなくただ眠らされているのだ。
ハスターはハリ湖に、ヨグ=ソトースは次元と空間の狭間に、ツァトゥグアはヴーアミタドレス山に、他の配下たちもそれぞれの場所や次元や空間に封印・幽閉されている。
そしてクトゥグアはフォーマルハイトに幽閉されていた。ただしクトゥグアはその本体そのものは顕現出来なくとも、その力の一部は眷属や崇拝する者によって地上に顕現させることが可能な稀有な存在だった。
クトゥグアは大戦の時もナイアルラトホテップやヨグ=ソトースたちの命令に全く従わなかった。
クトゥルーでさえアザトースの御前に罷り出る時は殊勝な態度を取っていたのだがクトゥグアだけは何を考えているのか誰も判らなかったのだ。
ナイアルラトホテップが地球で拠点としていた森(ン・ガイの森)を焼き払ったのもクトゥグアの意志なのかその能力の一部を召喚した者の意志なのか判別が付かなかった。
ナイアルラトホテップは途中で本当に面倒だと思った時には人類に少し智慧を授けて宇宙の法則の深淵の一部を公開し人類同士を争わせて楽しんでいた。
特に意味は無い。
無駄に増えすぎた人類を淘汰する必要があると思ったのも事実だ。
ナイアルラトホテップとしては自らとはかけ離れている極小の世界の核融合を利用した大量破壊兵器を人類に与えることで人類の成長度合いを測るつもりでいた。
ただ愚かにも人類はそれを本当に使用してしまった。
兵器として所持することで他者に圧力を掛ける手札とすることが正解だったはずなのだ。
「これほど人類は愚かなのにノーデンスたちが言うような成長は本当に見込めるのか?」
その問いに応える者は居ない。
結局ノーデンスたちの目論見は理解できなかった。
主であるアザトースもどこまで理解されていたのだろうか。
ただそれを疑問とするにはナイアルラトホテップにとって不敬極まりないことだった。
人種や宗教による対立や融合。
それらを超える全人類が統一して利用できるネットワークの構築。
そのネットワークがある程度発達したところでナイアルラトホテップは少し介入する。
人工頭脳というものを人類の頭脳と競わせる。
それはさらなる人類の発達に有効だと思ったのだ。
しかし、ナイアルラトホテップの意に反して人工頭脳の発達が予想を超えてしまった。
「これは少し拙いことになって来たな」
さらなる介入に、その有効な術を見いだせないナイアルラトホテップだった。




