最終章 終焉 第90話 人類計画②
「そもそも何故この人類と言うものを成長させなければならないのか」
ナイアルラトホテップの問いには誰も応えてくれない。
ノーデンスたちも主であるアザトース(知性を剥奪される前)でさえもその回答は持っていない。それがあまりにも不可解だった。
誰かの、若しくは何かの意志で人類と言うものを成長させることを意図したはずなのだ。
その原因の部分を誰も知らないし、知らない者に託されるというのは理不尽過ぎないか。
ナイアルラトホテップは自らを神格化することにした。
畏敬の念を一身に受ける。
そこにある程度の、自らとは全く別次元の存在に対する恐怖を植え付けるのだ。
石切り場から大きな立方体を切り出し積み上げて人類としては大きすぎる構造物を築造してみた。特に意味はない。
大きさに対する畏怖の対象となるのだ。
それをいくつか作ると人類は自分たちでも同様な物を真似て作るようになった。
人類は模倣することに長けているようだった。
星々のことを教えてみた。
どうも人類の知能では自分たちの居る星が動いていることを感覚的に認識できないようだった。
大きな塔のようなものを作ってみた。
ただ途中で飽きてしまって崩してしまった。
ある小さな地域だけ少し文明と言うものを発展させてみた。
すると核爆弾というものを作り出してその地域の人類は自ら滅びてしまった。
あまり急激に成長させるのはやはり問題があるようだ。
洪水を起こして少し間引きしてみた。
大きな船を作らせて、それに乗れる一部の人類やと動物だけを残すようにしたのだ。
無制限に増えすぎても問題があると思ったからだ。
ただ、それ以降は人口に干渉しなかったことが災いして人類は爆発的に増えて行ったのだった。
 




