最終章 終焉 第89話 人類計画
そして後に地球と呼ばれることになる惑星に人類の祖になると思われる存在が生まれた。
ナイアルラトホテップはそこにも少し手を加えなければならなかった。
いつまで経っても祖は生まれなかったからだ。
「偶然に発生することを待つ、ということはあまりにも冗長なことではないか?」
ナイアルラトホテップの問いには既にノーデンスは応えない。
何処に彼らが眠っているのかすらナイアルラトホテップは知らない。
また、探す気もなかった。
ナイアルラトホテップは数億年(それは地球での公転の回数を1年としての計算になる)待っても兆しすらなかったので痺れを切らして介入したのだ。
人類の祖となる存在は生まれたが、やはり中々成長などしない。
その都度ナイアルラトホテップは介入した。
自由にしていいと言われているので、やりたいようにすると決めていたのだ。
それで何かの実験が失敗したとしてもナイアルラトホテップの所為では無い。
そう思うことにしたのだ。
人類が人類として少しは見れるようになるまで数万年の時が必要だった。
ナイアルラトホテップが干渉してもだ。
それほど人類の成長は遅い。
最初から全ての知性と能力が備わって生まれて来たナイアルラトホテップたちにとっては、そもそも成長ということが意味が判らなかった。
何かの能力を新たに憶えたり、練習してできるようになる、ということが全く理解できなかったのだ。
ナイアルラトホテップたちは最初から全てを備えて生まれて来た。
ノーデンスたちも含めて、そう言うものだとしか認識していなかった。
ただ人類というものは出来なかったことを少しずつできるようになって行く。
理解できなかったことが理解できるようになる。
狩りを憶え、火を憶え、作物を育てることを憶えた。
そして少しずつそのい人数を増やしていった。
単に単体としてしか生まれなかったナイアルラトホテップたちや、最初から全てを共有し群体として機能していたノーデンスたちとは根本的に違う存在だったのだ。
 




