第3章 邪神大戦 第83話 神々の計画⑤
「我らの、という部分の意味が違うということだよ」
「意味が違うだと?どういうことだ」
「お前たちと我らの、ということだ。我らのの中にはお前たちも含まれているのだ」
ノーデンスの言葉はやはりクトゥルーたちには理解されない。ノーデンスもあまり説得しようとする強い意志が感じられない。
「この宇宙の成り立ちには我らだけではなくお前たちも関わっている、ということだ。りかいできないか?」
そこまで言われてやっとクトゥルーたちもノーデンスがいいたいことが理解できた。全てのことが全て全員の、敵も味方も関係ない全員の元下の意志で形作られている、ということなのだ。
「そっ、それが本当の事だという証拠は何処にあるのだ。我はそんなことは覚えてはいないぞ」
「それはお前たちの王であるアザトースですら覚えてはいないだろう。また我らも別に覚えている訳ではない。ただ、そうでないと今のこの状況についての説明が付かない、とても言おうか」
「全てを憶えているからこそ、今のこの状況を作った訳ではない、ということなのか」
「そうだな。ただ少しだけお前たちより情報を与えられていた、ということになるか。この宇宙の成り立ちについて事前に何かの合意があった筈、という感覚のみの極僅かなものでしかなかったのだが」
「たったそれだけで、この状況を作ったというのか。それが間違っているとも思わず」
「そうだな。ただある程度は記述があった。そこのナイアルラトホテップは知っているが図書館の知恵というものだ。あそこにはこの宇宙が出来る前からの知識が一部だけだが保管されているからな」
それはただ正確に全ての記述があった訳ではない。間接的にアザトースたちの処遇についての記述やノーデンスたちのことについても記載されているだけだった。
方法についての記述だけで、なぜそれが必要なのか、それが何を齎すのかなど肝心なことについては一切態と記述されてはいない。
アザトース配下の封印方法、そしてノーデンスたちの封印ではないが活動を停止させる方法が書かれている本。それは最適なタイミングでナイアルラトホテップの手に渡るよう保管のされていた。
「我らはそんなものに操られていた、という訳なのか」
「操られていた、というのは違うな。自らそうなるように仕向けておいた、ということになるのだ」
クトゥルーたちは頭では理解できなくないが理性の制御が効かない、というような表情を浮かべる。
「それで、これからどうなるのだ」
「どうもこうもない。この戦いを続けるのだ」
「なぜだ、結果が判っていることをこれ以上続けてどんな意味がある」
「だから言っておるだろう。我らとお前たちが戦って、お前たちを封印した歴史を描く必要があるのだから、このまま戦いは続くのだ」
「そうであれば、なぜ今こんな話を我らに伝えたのだ。全てが仕組まれたことであるのならば伝える必要も無かったのでないか。お前たちが勝利し我らを勝手に封印すれば良かろうに」
「そうだな。それでも良かったのだがナイアルラトホテップが想定以上に優秀だったので、ほんの少しだけ本を見付けるタイミングが早かったのだ。このままだと我らだけがか都通を停止させられて終い兼ねない」
ナイアルラトホテップは少しだけ早すぎた。それでは本来の理を変えてしまう。少しだけ改変が必要だったのだ。
 




