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邪神大戦  作者: 綾野祐介
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第3章 邪神大戦 第82話 神々の計画④

「お前たちが与える恐怖は人間が生きていくうえで、成長していくうえで必要不可欠なものなのだ。恐怖を如何に克服していくのか、その創意工夫が人間と言う種を進化されるのだ」


「そして、我らが担うのは希望となる。お前たちの恐怖に対して我らが対義的に規模となるのだ」


「その希望は恐怖を克服する術となろう。過去に我らがお前たちを駆逐したという史実を造ることで彼らの中に恐怖に対抗する存在を植え付けるのだ」


 ノーデンスの話は理解不能だった。前提がまずもって理解できない。人間などと言う者たちのためにこの宇宙を作ったとでも言うのだろうか。


「意味が全く判らない。最初からちゃんと説明しろ」


 堪りかねてクトゥルーが叫ぶ。それはそこにいるほぼ全員の思いだった。ナイアルラトホテップとヨグ=ソトースを除いて。


「最初と言うのはどこからのことだ?まあいい、この宇宙の始まりから、ということでいいかな」


 誰も応えないが、それは肯定という事だろう。


「この宇宙が始まった時というよりはこの宇宙が始まる前。全てはそこから用意されていた、ということだ」


「無が揺らぐことにより膨大なエネルギーが爆発した。それはこの宇宙を形どるためには必要な量のエネルギーだった」


「その膨大なエネルギーによって宇宙全体を覆いつくし、加速度的に空間を広げていく。この一角に人間と言う種を育むための、この宇宙なのだ」


「その始まりの理を考察できるだけの知識を得るまで成長を促すのだ」


「そして、お前たちや我らの存在についても正確に認識できるようになるまでな」


「ただお前たちの存在はただ恐怖を与えるだけではない。そのお前たちのエネルギーについて完璧に人間たちが理解するには相当な時間が掛かるだろう。いずれ到達するとしてもな」


「エネルギー体としてのお前たちの存在を完全に把握することが今回の人間と言う種の最終目標なのだ」


「目の前の恐怖に打ち勝ち、その本質である巨大なエネルギー体としてのお前たちのことを認識できたとしたら、今回の実験は成功となる」


「実験だと?この宇宙はお前たちの実験場だと言うのか?」


 アザトース配下の者たちのざわつきが止まらない。


「我らの実験場というのは少し違う」


「では何だと言うのだ」


 ナイアルラトホテップもヨグ=ソトースもクトゥルーのことを自由にさせている。クトゥルーの発言がその場の他の者たちを代弁しているからだ。


 そしてクトゥルーが納得すれば、その場の他の者たちも全て納得するだろうと考えている。


 ただ納得しようがしまいがアザトースの意志は変わらないので反抗しよとしても仕方ないのだが。

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