第3章 邪神大戦 第78話 神々の黄昏⑩
(意見はまとまったようだな)
その言葉はヨグ=ソトースにも届いている。
「なるほど、お前がノーデンスか。それで姿は現さないのか」
(視認できることに意味があるのか?)
「まあ確かにそうではあるな。よい、では何を協力してくれると言うのだ」
(お前たちの配下の者を一堂に集めて貰えれば、我がその全員に向かって我らの提案の意味や意義を説明しよう)
「それで皆が納得しなければどうする?」
(納得しようがしまいが結果は同じた。そうではないか?)
「それはそうだが、では説明などする意味があるのか」
(それは予定調和と言うものだ。結果が同じであっても途中の経過は大切なものだ)
「そんなものかね。いいだろう、我が全員を明日までに集めておく。そこでお前が説明するのだ」
「ヨグ=ソトースよ、いいのかそんな奴の言いなりになって」
「何を言うのだナイアルラトホテップよ、最初にその者の話を持ってきたのはお前ではないか」
「それはそうなのだが。判った、それで行こう。我やお前が一々説得して回るよりは効率がいい。とりあえずクトゥルーやクトゥグアあたりを力づくで抑え込む必要もあるからな」
ナイアルラトホテップとヨグ=ソトース、それにノーデンス。三者三葉の思いはあるがアザトースの意志を詳らかにすることは絶対条件であることに変わりはない。
そして今この時であっても両陣営の戦いは実は終わっていない。ただの肉弾戦ではあるが、ずっと同じように続いているのだ。そこにすら意味がある、という。物理的な死や自我の消滅であっても意味があると言うのだ。
それが意味があると言う理由、それはナイアルラトホテップにも理解できる。だが決して納得している訳ではない。
自らが生まれた意味、今までアザトースの配下として活動した意味、全てに意味があるというのは全てが無意味だったと知るよりはずっといい。
だが、例えそうであっても、やはり死んでいった同胞たちを思うと気が晴れることはなかった。
いつになく沈んだ思いを心の奥深くに沈めてナイアルラトホテップは明日を迎える決心をする。主であるアザトースは全てを理解したうえで承諾をしてくれている。その思いが痛いほど判るナイアルラトホテップはやはり明日など来なければいいと思っていた。




