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序章 第7話 最初の他者
アザトースは自らの名前を認識してから、疑問が生じていた。
「我は何故在る?」
自らの存在意義だ。自分が在ることによって生じるもの一体何だ。
自己と他者が在るのであれば、自己が為すべきことは何だ?他者との違いは?
疑問は際限ない。有とあらゆることが疑問となった。そして、それは欲として広がる。知識欲、探究心、好奇心。
そんな中、あまりにも遠すぎて接触するはずのなかった他者が近づいてきた。
膨大な質量。膨大なエネルギーの塊。同種とは最早言えないほどの大きく違いの生じてしまった他者。
原初の時代には全く同じ存在であったものが膨大な時を経て、揺らぎにより増大して行く差異。
アザトースが自らの名前を自覚したように他者もまた自らを認識し出す。
その者たちの中で最初にアザトースに近づいてきた他者。
自らの名前を他者から付けられるのではなく自覚する者の一柱。
名をナイアルラトホテップと言った。




