第3章 邪神大戦 第61話 神々の戦い③
膠着状態は続く。
ノーデンスたちとしてはアザトース以下主だった者たちが勢ぞろいするのを待たなければならない。それまでは、この膠着状態を続けるしか方法が無い。
アザトースとて、膠着状態を打破するため、もっと力を持った者たちを参戦させるはずだ。その日はちゅく着と近づいている。
「ナイアルラトホテップよ。どうも膠着状態に陥って久しいようだな」
「我が主、申し訳ありません。敵の全軍の陣容が掴めないまま、ただ悪戯にこちらも相手も、その数を減らせているだけになってしまっております」
「それはわが軍には最終的に不利になるのではないか」
「ご慧眼、恐れ入ります。仰る通り、こちらの陣営には数の限度というものがございます。個体数は今のところそれほど増えておりません。アブホースが生み出すにしても限度もございます。ヨグ=ソトースとシュブ=ニグラスが産み出すものは、もっと数が限られてしまいます。ただ産み出された者たちの力はかなりの者たちではありますが」
「一体一体の力がいくら強くとも数で圧倒しなければ結果的には負けてしまうのではないか」
アザトースは今回の戦い(と言っても今回の様は戦いは初めてだが)本質を見抜いていた。相手はこちらの力量を見極め相打ちを狙ってきている。そうすると最後は数に勝るであろう相手の勝利が確定するのだ。
ただ相手の総数については判明していないので、どの時点で負けが確定するのかも判らない状況だった。
膠着状態に陥っている現状を打破するには、圧倒的な力で相手を蹂躙するしかない。数に頼らず、相手にも数の有利性を破棄させるほどの圧倒的な力でだ。
それが可能なのかどうか、誰にも判っていない。
アザトースたち一体が群である相手の一部を何百何千何万何億体倒せばいいのか。それを主だった者たちで一斉に行えば何かしら光明が見えて来るのか。
「なぜあのような星の上で能力を制限されて戦っているのだ」
「ご説明させていただきましたが、我らがその能力を開放して戦ってしまうと末端の配下の者たちの力でもこの宇宙に多大な損傷を与えかねません。それは相手も同じことです」
「なるほど、そのようなことを聞いたな。それで相手も同様に制限されたまま戦っておるのか、奇特に事だな。それは相手との約定でもあるのか?」
「特にそのようなことはありません。ただ、相手もこちらの能力を把握しているようですし、戦うとなればこのような方法を取るしかないということは今日つ認識になっています」
「だが、それで相手を圧倒できなければ意味がないではないか」
「それはそうなのですが、お互い宇宙に損傷を与えない、ということで戦うにもルールが必要なのです」
アザトースは全くもって納得していない。自分一人の力で相手を完全に圧倒できる気がしているからだ。
戦いが始まって、特に相手の力量が見えてきている。配下の者たちとの力を制限したうえでの戦いであってもアザトースには明確に相手の力量が判った。
自分よりは劣るがナイアルラトホテップやヨグ=ソトースであっても可能なように思う。単身で敵全体を圧倒
できるものを、違いに制限された状態でただ物量と質量の戦いを続けているように見える。
ナイアルラトホテップのいう事も理解できるが、そのために自分たちが敗れてしまうことには全くもって不満しかない。このままでは、どうもそう推移してしまう可能性が高い。
「何か打開策はないものか」
アザトースか問う。しかし今のところナイアルラトホテップには妙案がなかった。




