第3章 邪神大戦 第59話 神々の戦い
ノーデンスたちが待ち受ける惑星の地表に、次々とアザトース配下の者たちが降り立った。
暗黙の了解でサイズは2m程度に統一されている。元のサイズからすると10分の1の者もいれば100分の1の者さえいる。
アザトースやシュブ=ニグラスなどの主力はまだ到着していない。
対峙して間もなく、特に何の合図もなく戦いが始まった。
戦い方はシンプルだった。ただぶつかり合って相手を圧殺する。互いの能力を最大限使う戦いではない。相手の能力は、相手が相殺してしまう。
お互いに何かの武器を使う概念が無い。
圧殺するのには数だ。アザトースの配下は個々の独立した者たちなのだが、統一した意識の元でただただ相手を囲んで圧殺する。
ノーデンスたちは囲まれないように、逆に相手を囲もうとする。
アザトース配下の者たちは、その触手を使って相手を取り押さえる。自らをどろどろに溶かして相手を取り込む。
(混ざる、混ざる、混ざってしまう)
(一度混ざってしまうと分離できないかも知れない)
(それは拙い。それは怖い。それは問題だ)
(混ざってしまうとどうなるのか)
(混ざったことが無いので判らない)
(それは別物になってしまう、ということか)
(そうかも知れない)
(これが恐怖というものか)
(それが恐怖なのかもしれない)
アザトースたちの作戦は少しでも相手の戦力を削ることなのか。ただノーデンスたちの戦力の総数は知れていない。
どちらも圧殺することで総数はわずかに減りはするが、本来は存在そのものが消滅するわけではない。特に強大な力を有する者は消滅しない。
アザトースの配下たちは圧殺された者を別の者が吸収している。それでまた少しづつ力を積み重ねて行く。
但し、既に混ざってしまっている者も吸収してしまっている。そうなると最早どちらの陣営の者なのか区別がつかなくなっている者もいる。
どくどくと泡立っている者もいる。他者を吸収することで拒絶反応が出ているのだ。それらは本来の形を留めることが出来なくなってきている。
アザトース配下の者たちに、それらは多かった。ノーデンスたちは混ざっていてもまだ自我を残しており、ほとんどが形も残っている。
ただ、混ざっていることは確かで、精神への侵食も軽視できなくなってきていた。アザトースの配下には、それを得意としてる者たちも多かったからだ。
ノーデンスたちには能力の差異が無い。得手不得手もないが特化した能力も持ち合わせていない。
戦いは初手から膠着状態に向かって着実に進んでいた。
 




