第2章 神々 第57話 神々の誕生⑨
本来アザトースたちが居るはずの次元。ノーデンスたちが計画を実行しようとしている次元。それらは同じ次元だった。
アザトースやシュブ=ニグラスが渡る次元はノーデンスたちが居る次元の一部ではあるが全てでもある。
アザトースたちは次元を渡ることが必要だがノーデンスたちは全ての次元に同時に存在しているので渡る必要が無い。但し逆にノーデンスたちは一つの次元のみに存在することが出来ない。ノーデンスたちは群なので単独ではないが一部を切り離さずに存在させることもできる。
図書館の知恵はなんとかそれらしき物を見つけることが出来た。それが有効なのかどうかは試してみないことには判らない。もし失敗したらどうなってしまうのだろうか。ノーデンスたちの計画に支障を来すことは間違いない。
もしそうなれば、一からやり直さなければならないかも知れない。図書館の知恵は前宇宙から引き継がれた知識なので選択肢さえ間違えなければ失敗は無いはずだ。
記憶を引き継げれば問題ないのだが、それはルール違反になっている。誰が、若しくは何が決めたルールなのかは判らない。従わなければならないルールということしか判らない。アザトースたちはルールの存在自体を知らない。
(そろそろアザトースを筆頭に我らを駆逐するために来るようだな)
(なんと、我らは駆逐の対象なのか。自らの存在をどう捉えた結果なのだ)
(自らを宇宙の覇者、至高の存在と認識しているのであろう。アザトースは万物の王、と名乗っているようだからな)
(万物の王か。稚拙なものだな。そんな存在が相手なのか)
(だが、その力は我らを脅かすに十分なものであることが問題なのだ)
(なぜ、そのような存在を許すのだ)
(それは判らない。記憶には無いが、今まで数限りなく繰り返している問題のような気がする)
(確かにそんな気がするな。それなに対処方法もそもそも少しは記憶に在っても不思議ではないはずだが)
(そこは何度繰り返しても一から、というルールなのだろう)
(そのことに意味はあるのか)
(もしかしたら何の意味もないのかも知れない)
(考えても無駄なのだろう)
(考えても無駄なのだ)
(そろそろ来る)
(そろそろ来るな)
(準備は万端か)
(出来る準備はしてある。図書館の知恵の選択を間違っていなければ大丈夫だ)
(選択を間違える可能性は?)
(それほど高くはないだろう)
(そうだといいがな)




