第2章 神々 第52話 神々の誕生④
(何か少し動きが変だ)
(どういうことた)
(強大な個の中でナイアルラトホテップと呼ばれる個とヨグ=ソトースという個が様々な次元の隅々まで何かを探しているかのような動きをしている)
(我らの意図に気が付いたのであろうか)
(いや、そこまではまだであろう。ただ何かが起こっている、とは認識し始めているようだ)
(それは問題ではないのか)
(それは今後問題になる可能性があるな)
群である者は全てが統一されている意識なので本来は会話など成り立たないのであるが、自らの意識をはっきりとさせるための会話が有効だと感じていた。会話をすることによって結論が際立って纏まり易くなるのだ。
(そのナイアルラトホテップとかヨグ=ソトースというものが名というものか)
(やはり名というものは必要なのか)
(今の様に我らの中でも会話を成立しやすくするのには名も道具としては有用なのかも知れない)
(それは我らを分断するということか)
(いや、その必要はないだろう。我らはあくまで群であって今は確かに会話をしているが、それはその方が都合がいいから、ということだけだ。今の状況を分断する必要は無かろう。)
(そうだな。それに分断してしまうと奴らに見つかってしまう可能性が高くなる)
(そういうものか)
(そういうことだ)
長い長い時間を掛けて個であるナイアルラトホテップとヨグ=ソトースが群である我らが存在するあらゆる場所を隈なく捜索している。今のところ全ての次元に同時に群として存在している我らを一つの次元に居る個たちは認識できない。ただ、それもいつまで続くのかは判らなかった。




