第1章 発端 第41話 始まりの始まり③
反乱。それとはどうも違う。
反抗。それともどうも違う。
違和感の正体、それはアザトースを万物の王として認めた者たちが、アザトース以外の存在を至高の存在として認識を変えつつある、ということだった。
それは静かに、しかし確実に広まりつつあるようだった。侵食している、という表現が正しい。沁み込むように広がっていくのだ。
アザトースの代わる至高の存在。そんなものをナイアルラトホテップは感じたことが無かった。いったい何処にそんな存在が在るというのだ。
「どういうことなのだろうか。」
思わずナイアルラトホテップが呟く。
「お前に判らないことが我に判る筈がなかろう。」
ヨグ=ソトースは突き放すように言う。ヨグ=ソトースからするとアザトースを信奉しているが、その存在を宇宙中に広める役はナイアルラトホテップであって自分ではない、と割り切っていた。自分はシュブ=ニグラスと共にアザトースを信望する者を産み続けるだけだ。産み出した者が反旗を翻したのではない限りヨグ=ソトースには関係がない。
「原因を探る。手伝ってくれまいか。」
再びナイアルラトホテップが頼み事をしてきた。ヨグ=ソトースとしてはどちらでもよかったのだが、ナイアルラトホテップに貸しを作るのも悪くはない。
シュブ=ニグラスには産み続けてもらうこととして、ナイアルラトホテップとヨグ=ソトースは今のところ存在が認識できていない至高の存在とやらの正体を探ることにした。
具体的にはアザトースに対して信望を薄めていのものを探し出し、問い詰めるしかない。広く、薄く走査したので一人一人の存在を掴めている訳ではなかった。
ナイアルラトホテップとヨグ=ソトースは手分けして捜索に出るのだった。




