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序章 第4話 他の認識
個があった。また遠く離れた場所にも数多くの個があった。
個の中の一つが強烈な自我を持ち始めた。
(我は在る。我が在る。)
自らが存在していることを、自らが認識した。多分この宇宙で初めての存在だった。
(我はなぜ在る?)
自我について、疑問が生じた。そこに欲が生まれた。自らの存在について知りたい。自らの存在理由や、自らが存在するまでの経緯や自らの存在に対しての他からの認識について、個が強烈に自我を持ったことで、他との差別化が生じた。
(我と同じ存在はあるのか?)
自らと違う他があるのか。あるとしたら自らとはどう違うのか。様々な疑問が生まれ、それは欲として積み重なる。
あるとき、自らとは別の個の存在に気が付いた。他を認識できるようになったのだった。