序章 第37話 支配する者⑨
「ここを我が居城とする。我に平伏すのだ。」
クトゥルーは古のものたちの都市の中心にあった巨大な建造物を居所とすることにした。巨石で作られたそれはクトゥルーにも問題なく利用できるサイズだったのだ。
古のものたちの他にも様々な地球土着のものたちをその支配下に入れていく。それらは後に眷属と呼ばれるようになるものたちの祖先だった。
クトゥルーの力の一端を与えた個体も数体存在した。クトゥルーはそれらに名を与えた。名を与えることによって他と区別がつくようになるのだ。クトゥルーは名を与えられてはいない。それは元々クトゥルーがクトゥルーという存在として生まれ出たからだ。それは唯一無二の存在の証だった。
クトゥルーがその僕として最初に名付けた個体にはダゴン、ハイドラという名を付けた。それらはクトゥルーを崇拝する者たちを纏めるものたちだった。雌雄と言う感覚はクトゥルーには無かったが、それは対になる存在だ。クトゥルーたちは崇拝を受ければ受けるほどその力を増す存在だったのだ。
クトゥルーはその気になれば地球全土をその精神支配下に置くことが出来た。ただその都市に居る古のものたちが全てだと勘違いしていた。地球全土までは支配しなかったのだ。
そのことが後に致命的なことになるとはクトゥルーは勿論、当の古のものたちですら思いもしてはいなかった。
 




