序章 第36話 支配する者⑧
クトゥルーは地上を這うことを止めた。這うからショゴスに止められるのだ。空を飛べばいいだけだ。ショゴスに飛行能力はない。今のところは。どうも日々進化しているようで、いずれ飛行能力も得てしまう可能性はある。そうなると中々侮れない。そうなるまえに根絶するか先住者であるショゴスの主を駆逐する必要がある。それはそう難しいこととは思ってはいなかった。少し油断しただけなのだ。
空からショゴスの集団を超えて都市へと向かう。すぐに到達できた。最初から飛べばよかったのだ。
都市の中心部に降り立つと、そこには先住者とみられる集団が蠢いていた。ショゴスの主ではあるがクトゥルーからすると見た目ではそうは変わらない。ウミユリの様なフォルム。頭と思われる部分は五芒星を象った形をしている。触手や翼も備えているので、細かい作業もできるし空も飛べる。自分でなんでもできる存在ではあるが、それも限界があるのと少しでも楽をしようとして使役するためショゴスを作ったのだ。そして食料という一面も持っていた。
「お前たちは古のものというのか。我に従う気はあるか?」
古のものたちは言葉を持たない。そもそも声を発する器官がなかった。意思疎通は全てテレパシーで行っていたのだ。そしてショゴスへの指令もテレパシーで行っていた。それはショゴスからすると精神支配になるだろう。
そして精神支配はクトゥルーの最も得意とするところだ。クトゥルーは一瞬でその都市に居る全ての古のものの精神を把握し掌握した。古のもののそれはクトゥルーの能力の劣化版でしかなかった。
「仰せのままに。」
古のものたちは直ぐにクトゥルーの軍門に下った。ショゴスが通用しないのだ、古のものたちでは太刀打ちできるはずが無かった。クトゥルーにとっては簡単な作業だった。心配は杞憂だったのだ。クトゥルーは初めて訪れた星で、その支配をいとも簡単に成し遂げた。テレパシーに頼っている種族にとっては、クトゥルーは天敵でしかなかったのだ。
ただ、クトゥルーは一つ見落としていることがあった。都市は一つではなかったのだ。




