序章 第24話 旧神の知恵②
「早かったではないか。それで?」
「そう急かすでない。偶然見つけた書物の中にある記述を見つけたのだ。」
「書物と何だ。」
「言わば文字と言うものを使って書かれた知識の集合体だな。誰がそんなものを作ったのかは知れないし、それが本当の知識なのかも判らん。何せ実体験ではないし、また体験しようもないことなのでな。」
ナイアルラトホテップとて今得た知識が有用なものかどうかの判断は付かなかった。経験が皆無なのだから仕方がない。自らの経験は知識となるであろうが、他の者の経験は知識として得られるとしてもそれがそのまま自分に適応できるものなのかどうかは、やってみないと判らないのだ。
「内容が正しいかどうかは判らんがやってみるしかないか。」
ヨグ=ソトースは覚悟を決めた。シュブ=ニグラスは否応もなかった。ナイアルラトホテップは少し面白がっていたのかも知れない。嬉々として自分が得た内容を教示した。
それは「融合」とも言うべき方法だった。雌雄の別が無い唯一無二の個体同志、思えばそれ以外の方法は思いつかないだろう。二つの個体は融合し、第三の個体を産み出した。そしてまた元の二つの個体に戻ったのだ。
ヨグ=ソトースとシュブ=ニグラスは第三の個体を産み出してもその質量やエネルギーを変えなかった。物理法則の外に有る存在なのだ。
ヨグ=ソトースとシュブ=ニグラスの間に産まれた第三の個体。それは生まれながらにして名をもつ存在だった。
名をクトゥルーと言う。




