序章 第22話 シュブ=ニグラス⑤
ヨグ=ソトースとシュブ=ニグラスの間に生まれるのは一体何者なのか。そもそも世に単体でのみ存在する両者の間に子をなすことが出来るのか。どちらにも生殖器官のようなものはない。どちらにも子をなす方法も判らない。
「ナイアルラトホテップはおらぬか?」
ヨグ=ソトースはナイアルラトホテップを呼んだ。シュブ=ニグラスとの間に子をなす、それは何故か決められた使命のように感じていた。そこから始まるのだ。
「なんだ。」
すぐにナイアルラトホテップが現れる。何か黒い塊が現れ、そこから出てくるのだ。その現れ方にヨグ=ソトースは最近慣れてきていた。
「我が王アザトースに仕える者を増やすため、我はシュブ=ニグラスと子をなすこととした。だが、その方法が判らない。どうしたらよいのだ。」
「我にもそのような経験はないな。少し待っておれ、最近面白そうな所を見つけたのだ。そこに行けば何か判るかも知れん。」
「面白い所?」
「そうだ。何か書物のようなもの、書物ではないがそれに類したものが大量にあるところだ。我ら以外に何者かの存在がある証拠だと思われる。その者たちの知恵が詰まっているかのようだ。内容が理解できれば役に立つのではないか。」
「よく判らんが、お前にしか頼れないのだ、よろしく頼む。」
「我が主にも利することであれば協力することに応えはない、任せておけ。」
そう言った次の瞬間、ナイアルラトホテップの姿はなかった。
「どうするのだ。待てばよいのか。」
「ナイアルラトホテップに任せた。奴が戻るまで待つがよいわ。」
ヨグ=ソトースとシュブ=ニグラス。二つの巨大なエネルギーは、特にすることも無くただそこに在るだけだった。




